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14 片瀬の家
タクシーを捕まえると、俺を押し込んだ。
「じゃあ、あとは大丈夫ですか?」
離れていく片瀬の体温に寂しくなり、思わず袖を掴む。
っていうか、さっきからなんか酔いとは違う熱さが…
「もしかして、ヒートですか!?
マジでもう、信じらんねぇ」
そう言って片瀬は一緒にタクシーに乗り込むと、住所を告げた。
俺は、どこに向かってて、ここがどこなのかも分からない。
ただ、熱くて、腹の中が疼いていた。
タクシーが着いて、片瀬が支払いを済ませると、俺を引っ張り出した。
「え、あ、タクシー代」
「いいです。ここ、俺の家なので」
「何で…、お前んち…?」
「俺の家の方が近かったんで」
そう言うと、俺の腕を引っ張って部屋まで連れてこられた。
「俺、ヒートだし、お前の部屋とか入れないって!」
「じゃあ、誰に世話頼むんですか?」
「それは…、1人でなんとか…」
「手は出さないんで、うちで過ごしてください」
そ、そういうもんなのか?
俺の歴代の恋人たちは、俺がヒートになると、俺に気があるにしろ無いにしろ、手ひどく抱いてきたけど…
あまりタイプじゃないと、手は出ないんだろうか。
俺は薦められるまま、マンションの一室に入り、客室のような部屋に押し込められた。
本当にゲストルームって感じの、必要最低限の家具がある綺麗な部屋だ。
片瀬はよく人を招くのだろうか?
ベッドに横になるが、やはり体が熱くて、今すぐにでも後ろを慰めたい。
でも、部下の家だしな…
それに近くに好みの匂いがするαがいると思うと、そっちに気を取られる。
す、少し、嗅ぐだけ!
そう自分に言い訳をし、部屋の扉を開ける。
片瀬の匂いが強くなり、さらに強い方へと足を進める。
片瀬はキッチンで何か調理しているところだった。
俺の気配か匂いに気づいたのか、ばっと顔を上げた片瀬と目が合う。
「なっ、んで出てきてんすか!」
「あ、ごめっ…、片瀬の匂いがしたから…」
「さっきより匂い強くなってるし…
早く部屋に戻ってください!」
「でも…」
自分でも物欲しそうな顔をしているだろうと思う。
じっと片瀬を見つめると、ため息をついた片瀬が、また俺の腕を取って部屋に引き戻した。
が、さっきと違って、今度はベッドに押し倒される。
フーフーと片瀬が荒い息をしながら、俺を睨み下す。
そんな姿にも、俺は欲情してしまう。
このまま、犯して欲しい…
「くそっ…」
片瀬が徐に、自分の腕を噛んだ。
俺は驚いて上半身を起こした。
腕からは血が滲んでいた。
「か、片瀬?それ、痛いだろ?
噛むのやめろって…」
噛んでいる腕にそっと触れる。
「こうでもしないと、今すぐにでも三上さんを襲いそうです」
「別に…、いいけど」
まあ、片瀬は嫌だよな。
いくら俺のヒートのせいとはいえ、おっさんを抱くなんて…
その瞬間、噛み付くように唇を奪われた。
食べ尽くすように口内を貪られる。
片瀬の血の味がする…
息が苦しくなってきて、片瀬の肩を押そうとしたが、その手を掴まれ、シーツに縫い付けられる。
本当に食べられる
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