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18 赤い点々

久々に深い眠りについた気がする。 ふわふわと気持ちのいい眠りから覚醒する。 なんかいつもより温かくて、いい匂いが… うっすら目を開けると、イケメンの寝顔のドアップで、危うく声をあげそうになった。 え!?え…?? 片瀬か…? そして俺は、昨日のことを思い出した。 …、待ってくれ。 俺の記憶が正しければ、俺達、番ったよな? さーっと血の気が引く。 まずい、部下にヒートトラップを仕掛けて、事故で番ってしまったよな!? こんなおっさんを番にしてしまうだなんて、片瀬に同情してしまう。 でも、俺はもういい歳だし、別に責任を取れだなんて言わない。 Ωにとって番は1人だが、αは何人でも番えるらしいから、片瀬は自由だ。 それに…、ここ最近、あんなに重かったヒートが、今日は薬さえ飲めばなんとかなりそうな感じがする。 これが番パワーか! ヒートがこんなに安定するなら、俺は形だけ番ってもらって良かったのかもしれない!   そんなふうにポジティブに考える。 まあ、そうでもしないと不安で仕方がないからなのかもしれないけれど。 がっしりと俺に回された手をなんとか外す。 「ん"ん"…」 と、片瀬が眉間に皺を寄せて呻いたが、なんとか脱出できた。 寝起きのおっさんの顔なんて、朝から見たくないだろうしな。 俺は慌ててベッドから抜け出す。 全裸じゃねぇか! こんな貧相な体まで晒すとこだった。 体がベタベタしていないから、片瀬が片付けてくれたのだろう。 おっさんの世話をさせてしまって申し訳ない。 少しだけシャワーを借りて、服を回収して帰ろう。 そう思ってバスルームに入るが、俺は自分の全身を見てギョッとする。 え、なんだこの内出血… 一瞬、帯状疱疹とか水疱瘡とか、そういう皮膚病を連想するくらい、赤い点々がびっしり付いていた。 が、ところどころ紫になっているし、多分内出血…、って言うかキスマークってやつか? え?片瀬がつけたのか? そう思った瞬間、顔が熱くなる。 たかだかキスマークくらいで、何を赤面してるんだ、俺は。 そのついでに頸を確認する。 全ては見えないけど、やはり噛み跡がくっきりとついているようだ。 αの番への執着心は凄いとは聞いていたけれど、俺みたいなのにも、こんな跡をつけるってことは本能ってのは怖いなと思った。 シャワーを浴びて、服を着たが、片瀬はぐっすり眠っていた。 『帰る。世話をかけたな』 というメモ書きと昨日のタクシー代を机に置いて、俺は片瀬の家を出た。

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