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第14話 母の再婚14
1ー14 おはよう
アーキライトは、僕を抱き寄せてことんと僕の頭に自分の頭をくっつけると目を閉じた。
僕は。
心臓がどきどきしてなかなか眠れなくて。
首筋に感じるアーキライトの吐息に体が熱くなる。
アーキライトは、僕を抱き締めたまま眠りに落ちていた。
すぅすぅと規則正しい寝息をたてているアーキライトに僕は、胸が高鳴っていた。
アーキライトは、すごくいい匂いがしていた。
どんな大人とも違う、爽やかな香りに、ちょっと甘い果実みたいな匂いがしていた。
美味しそう。
僕は、ごくりと喉をならしていた。
真っ暗な中、窓から漏れる月明かりに照らされたアーキライトの横顔は、美しくて。
僕の胸は、なんだかきゅぅっと締め付けられるような気がしていた。
アーキライトは、なんでこんな願い事を僕にしたんだろう?
僕は、アーキライトがわからなかった。
まったく眠れなくてイライラしている僕と引き換え、アーキライトは、気持ちよさげに眠っていた。
口許に笑みを浮かべているアーキライトに僕は、腹が立って思わずその高くて形のいい鼻をつまみ上げた。
アーキライトが苦しげに呻くのを見て僕は、くすっと笑った。
ぜんぜん起きそうにないどころか、すっかり僕を抱き枕がわりにしているアーキライトに僕は、呆れていた。
僕は、ほわっとあくびをした。
「おやすみ、兄さん」
そう呟いて僕は、目を閉じた。
翌朝。
目が覚めると、僕は、アーキライトの胸に抱きすくめられていた。
アーキライトは、すやすやと眠っていて。
その美しい寝顔に僕は、どぎまぎしていた。
アーキライトは、彼の腕の中から逃れようとする僕を逃すまいとするようにしっかりと捉えていた。
アーキライトにぎゅうぎゅう抱き締められて僕は、顔が熱くなって。
夜は、すっかり明けていた。
もうそろそろ牛(カーブ)たちの世話を始めなくてはいけない。
僕は、思いきってアーキライトのことを起こそうとした。
「アーキライト、兄さん!」
僕に呼ばれてうっすらと目を開けたアーキライトの赤い瞳が揺れているのを見て僕は、心臓が跳ねるのを感じた。
どきどきしている僕にアーキライトは、微笑んだ。
「おはよう、ルルシア」
「お、はよう・・兄さん」
僕は、慌ててアーキライトから体を離すと起き上がってベッドから降りた。
そのまま、部屋から走り出る。
隣の自分の部屋に戻ったときには、僕は、心臓が破裂するかと思うぐらいどきどきしていて。
僕は、熱い吐息を漏らした。
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