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第39話 成り変わりの婚約者11

 3ー11 疼き  「気持ちいいのか?」  アーキライトが僕を抱きながら僕の前に手を伸ばしてそこを擦る。  「あぅっ!・・も、そこ、だめぇっ!」  僕は、いってるのにさらに快感を与えられて。  もう、いきすぎて、わけがわからなくなっていた。  白濁した頭で僕は、必死にアーキライトがくれる快感を貪っていた。  「はっ・・ぅんっ・・!も、これ以上、しちゃ・・」  僕は、アーキライトの手に透明な液を吐いた。  でも、もう、それ以上は、無理だった。  アーキライトは、ぐったりなった僕をそっとベッドに横たわらせた。  もう、涙と鼻水と涎でぐちゃぐちゃになった僕の顔に張り付いた前髪を指先で払って、アーキライトは、僕の顔にキスを降らせた。  「愛している、我が妻よ」  「あっ・・アーキライト・・」  僕は、アーキライトの僕の髪を愛撫する暖かい手を感じて目を閉じた。  涙が頬を伝う。  「なぜ、泣く?シア」  アーキライトが僕の涙を指で拭った。  「お前は、私が嫌いなのか?」  「・・ちが、う・・」  僕は、かすれた声で否定した。  僕は。  ずっと、アーキライトが好きだった。  兄としてではなく。  僕が15歳の祝いの日に作業所で他の誰かに体を許すのを覗き見たあの時から、僕は、アーキライトを自分のものにしたかったのかもしれない。  でも。  僕は、アーキライトが怖かった。  快楽で人を狂わす淫魔である彼が恐ろしかった。  僕も、狂わされて、そして、捨てられるのかもしれない。  だから。  僕は、誰のことも好きにはならなかった。  商会を開いてから、女の子とも親しくなることはあったけど、僕は、誰のことも好きにはならなかった。  僕は。  ただ、アーキライトの願いを叶えることが僕の喜びになっていた。  こんな形でしか、僕たちは、繋がることができないのだと、思っていた。  なのに。  こんな風に、アーキライトに抱かれるなんて。  僕は、なぜだか、涙が止まらなくて。  アーキライトは、僕を抱き寄せてそっと髪を撫でてくれた。  それは、子供の頃から変わらない。  あの日。  初めて添い寝を願われた頃からずっと続く疼きのような感覚がすぅっと満たされていくのを僕は、感じていた。  

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