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第57話 愛とダンジョン

 5ー1 ダンジョン  それから。  アーキライトは、僕をその岩穴の中で監禁し続けた。  僕がもう、逃げないといっても彼は、僕の足につけた枷を外そうとはしなかった。  それは、僕の安全のため、だとアーキライトは、言っていた。  その意味は、僕には、よくわからなかった。  アーキライトは、僕を閉じ込めたその場所で、毎日、僕を抱いた。  僕は、アーキライトが運んでくる食事を食べる以外は、ほぼほぼ、アーキライトに抱かれていた。  寝てるか、飯食ってるか、アーキライトに抱かれてアンアン言ってるか。  そんな爛れた毎日が続いて。  ふと気づくと、僕の全身には、淫紋と同じような紋様がびっしりと刻まれていっていた。   ある日、アーキライトが用意してくれたお湯で体を洗っていて、唐突に気づいたんだが、僕の両手足、胸部には、青い入れ墨みたいな紋様が広がっていた。  「な、なんじゃ、こりゃぁっ!?」  まあ、このときまで、僕は、毎日、アーキライトに抱き潰されていて、自分で風呂に入るなんてことできなかったわけで。  僕は、シーツで体を隠すとベッドに腰かけて自分の両手の紋様を見つめた。  「なんだ、これ?」  「どうした?ルルシア」  食事をのせたトレーを持ったアーキライトが戻ってきて、ベッドの横のテーブルに置いた。  いつも思っていたのだが、このアーキライトが運んでくる食事ってなんか母さんの作ってくれる食事に似てるな。  「アーキライト、このご飯って」  僕がもぐもぐしながらきくとベッドの僕の横に腰を下ろしたアーキライトがこともなげに告げた。  「これは、リリアが作ってくれた食事だ」  はい?  なんで、母さんがアーキライトに監禁されてる僕の食事を用意してくれてるの?  っていうか、ここは、どこなんだよ?  「アーキライト、ここ、どこなんだ?」  食べ終わった僕は、アーキライトに訊ねた。 アーキライトは、僕の肩に手を置き僕を覗き込んだ。  「ここは、この世界で唯一の父の目が届かない場所。地の果てにある第6ダンジョン。その最下層にあるダンジョンコアの間だ」  はい?  ダンジョンコアの間ですと?  

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