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第59話 愛とダンジョン3
5ー3 紋と自由
「僕、が・・アーキライトの番?」
「そうだ」
アーキライトは、頷くと僕の唇にちゅっと軽くキスをした。
「一目見てわかった。お前が私の番だ、と」
アーキライトは、優しく目を細めた。
「だが・・お前は、まだ幼かったし、それに人の体は脆い。だから、私は、待つことにした。待ちながら私は、お前の体を自分の気に慣れさせ、その体を守るための番紋を刻むことにした」
アーキライトがいうには、番紋というのは、紋を刻む者の気を相手の体に十分に注がなくては刻めないらしい。
「触れあうだけでは、十分ではない。直接中に私の精を注ぎこまなくては番紋は、刻むことができない」
しかし。
「脆弱な人の体では、私とのまぐわいに耐えられない。だから、まず、淫紋を刻んだ。淫紋は、お前に激しい情欲をもたらすものだが、同時に、お前の肉体を私との情交において守るためのものでもある」
僕の癖のある髪を弄びながらアーキライトは、続けた。
「ともかく、私は、お前に番紋を刻もうとした。途中、父の妨害にもあったが・・こうしてほぼ、番紋は完成した。あとは・・」
アーキライトがつぅっと指を滑らせて僕の胸の中心を指した。
「ここに、お前の魂の紋が刻まれたら完成だ。これは、お前が完全に私のものとなるときに現れる紋だが・・」
僕は、アーキライトの指につつかれている自分の胸元に目をやる。
そこには、うっすらと角がはえたカーブみたいな紋様が浮かび上がっていた。
「これだけ、私に抱かれても、まだ、お前の心は、完全には私のものになっていない。私のものになるまで、私は、ここからお前を出すつもりはない。それは、お前の母であるリリアも承知している」
「母さんが?」
僕は、ちょっと驚いていた。
母さんは、アーキライトが僕を監禁してこんなことをしているのを知ってるの?
アーキライトは、僕の額に口づけした。
「お前をここにさらってすぐにリリアには、全て事情を話した。彼女は、私たちのことを認めてくれた。ただし、私がお前を幸せにすることが条件だったが。父も」
アーキライトがちょっと眉をよせる。
「リリアの説得のおかげで納得したようだしな。もう、我々を阻むものは何もない」
「なら!」
僕は、アーキライトに訴えた。
「僕をここから解放してくれよ!」
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