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第61話 愛とダンジョン5
5ー5 女
「まさか、アーキライトが巣作りするときがくるなんて思ってもいなかった」
アーキライトのじいちゃんである竜族の長は、僕にしみじみと話した。
「アーキライトがこのダンジョンを使いたいといってきたときは、ほんとに驚いたもんだよ」
じいちゃん、とはいってもどう見てもただのイケオジにしか見えないんだが。
とにかくじいちゃんは、僕に嬉しそうに話してくれたんだが、僕は、複雑な気持ちだった。
だって。
僕、裸を布で隠しただけでベッドに腰かけてじいちゃんの話を聞かされてて。
恥ずかしくって、話が入ってこないよ!
「じい様」
アーキライトが僕のことを抱きよせると話に割って入ってきた。
「話がすんだなら、もう、出ていってくれないか?」
「これだよ」
じいちゃんは、僕にはぁっとため息をついて見せた。
「アーキライトは、昔からつれない奴でな。初めて男を連れ込んだときもやることがすんだらすぐに放り出して見向きもせんかった。それが、巣作りをするとかいうから来てみれば」
じいちゃんがギラギラした目で僕をじっと見た。
「番紋まであるじゃないか。いったいどういう心境の変化があったんだか」
「そういう話は、必要ない」
アーキライトは、僕をぎゅうっと抱き締めてじいちゃんのことをぎん、と睨んだ。
「それでも話をきいたのは、じい様への敬意をはらってのことだ。もう、出ていってくれ」
「冷たいな」
じいちゃんは、僕のことを抱いて離そうとしないアーキライトに目を細めていたが、満足げに微笑むと去っていった。
ただ、洞穴から出ていく際にふと、振り替えって僕を見た。
「ひ孫の顔が見れるのを楽しみにしているよ」
はい?
僕は、首を傾げていた。
なんのこと?
僕は、じいちゃんが去っていった後で、じぃっとアーキライトのことを見ていた。
アーキライトは、僕の視線に気づいて僕に微笑みかけた。
「あのじい様の話は気にしなくていい」
「いや!気になるって!」
僕が強く言うと、アーキライトがちょっと考え込んでから返事をした。
「この番紋は、刻まれた者の肉体を作り替えて、私のためのメスにするためのものだ。要するに、お前は、私だけの女になったわけだ」
なんですと?
僕は、笑みがひきつっていた。
僕が女?
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