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第64話 愛とダンジョン8
5ー8 子羊
「どうした?シア」
アーキライトが僕に優しく問いかけた。
「歩けないのか?」
「あぁっ・・」
涙目で見上げる僕を見下ろしてアーキライトは、すごくいい笑顔を浮かべていた。
「手を貸してやろうか?」
「いいっ・・よ!」
僕は、なんとか足に力を入れて立ち上がるとアーキライトが用意してくれた服を身につけた。
できるだけ衝撃を与えないように気をつけてゆっくりと着ていく。
シャツは、大丈夫だったけどズボンはきつかった。
「はぁっ・・んぅっ!」
僕は、顔を火照らせながらなんとか服を着た。
けど、もう、腰がふるふる震えていて歩けそうになかった。
でも!
エリザベスちゃんのことを思うと、僕は、気が急いていた。
「アーキライト、ちゃんと身につけたんだから家に戻して!」
「いいだろう」
アーキライトは、ぐぃっと乱暴に僕を抱きよせた。僕は、思わず甘い声を発していた。
「あぅっ!」
「これぐらいで感じていて、大丈夫なのか?ルルシア」
アーキライトが口許を緩ませたので、僕は、ぷいっとそっぽを向いた。
「は、やく、連れて帰って!」
突然、どん、と衝撃が走り、アーキライトが転移の術を使ったとわかった。
次に目を開くと、そこは、エリザベスの牛舎の前だった。
辺りは、明るい昼間で。
僕は、眩しさによろめいた。
「大丈夫か?ルルシア」
僕を支えてくれるアーキライトの手に僕は、思わず体をこわばらせる。
「んっ!」
もう、全身、どこを触れられても気持ちよくて!
僕は、へろへろっとその場に座り込んでいってしまった。
「あ・・あっ・・」
滑って気持ち悪い。
「いったのか?シア」
アーキライトがしゃがみこんで僕の耳元で囁く。
「辛いなら、もう、やめておくか?」
僕は、きぃっとアーキライトを睨むとなんとか立ち上がろうとした。
僕は、生まれたての子羊みたいにぷるぷるしながら立ち上がると、エリザベスちゃんのもとへと急いだ。
「エリザベスちゃん!」
「ルルシアお兄様?」
レイラスが振り向く。
僕は、駆け寄ると声をかけた。
「エリザベスちゃん、は?」
エリザベスちゃんは。
元気にレイラスの手から緑の薬草の葉っぱを食べていた。
なんかつやつやして。
まるまる肥えている?
僕は、安心して。
そのままヘナヘナとその場に座り込んでいた。
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