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第65話 愛とダンジョン9

 5ー9 お任せくださいませ!  レイラスの話では、エリザベスちゃんは、僕が戻ってきた後、元通りご飯を食べてくれるようになったのだという。  「きっと、アーキライト様が特別な薬草を届けてくださったからですわ!」  レイラスが言ったので僕は、信じられない思いでアーキライトを振り仰いだ。  アーキライトは、そっけない顔をしていたが、エリザベスちゃんは、アーキライトのことを見逃さなかった。  「んも、もぅ!」  エリザベスちゃんがアーキライトの方へと近づいていくとその手に頭をすり付ける。  アーキライトもまんざらでない様子でエリザベスちゃんのことを撫でてやっているし。  もしかして、アーキライトは、マジでエリザベスちゃんのこと可愛がってくれてるのか?  エリザベスちゃんは、座り込んでいる僕の頭をくんかくんかと匂いを嗅いでから、その長い舌で僕の頬を舐め上げる。  「ひぁっ!」  僕は、思わず声を上げてしまって、すぐに、口許を押さえた。  しまった!  今、アーキライトのせいで全身の感覚が鋭敏になっていて。  つい、甘い声を出してしまった。  僕は、レイラスのことをちらっと見たが、レイラスは、特に気づいてないようだったので、僕は、ほっとしていた。  そうだ!  僕は、レイラスに相談するつもりだったことを思い出していた。  そうなのだ!  もともと、僕は、王から立太子したいとか言われてそのことをレイラスに相談するつもりだったのだ。  それが、エリザベスちゃんのことやら、アーキライトのことやらでうやむやになっていたんだよ!  「レイラス」  僕は、レイラスに呼び掛けた。レイラスは、座り込んだまま動こうとしない僕に妙な顔をしながらも近づいてきてしゃがみ込んだ。  「なんです?ルルシアお兄様」  「実は・・」  僕は、アロイスが廃嫡されたこと、王が僕を立太子しようとしていることをレイラスに話した。  レイラスは、真剣な表情できいていたが、僕の話が終わると何やら納得した様子で頷いた。  「わかりました。ルルシアお兄様は、立太子されたくないんですね?」  レイラスは、顎に指先をつけて何やら思案していたが、やがて、僕に笑顔で告げた。  「私にお任せくださいませ!」    

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