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第4話

 閉ざさ薄暗い空間、眼の前には一枚の鉄の扉がある。硬い床に筵一枚を敷いてそこに眠る事を強要されている。  地下にあるその部屋は床が少しばかり冷たいが、寒くは無い。  音のない空間に、これからどんな目に遭うのかという恐怖の震えか、興奮の震えか。本人にもわからない。ただ、鉄の扉が開きこの寂しさをぶち破ってくれる事を期待していた。  きっといつも通り、ユリがやってきて伸し掛かり、酷い目に遭わせてまた帰っていくんだ。  夢の中のユリは、現実とはまるで違って痛みを与えては来ない。動けない苦痛と、強制的な快楽を与えてくるファンタジー界の存在だ。今この時に夢の世界のユリに与えられたのも抱擁だった。  ボンテージを着た硬いユリが、現れ、軽々と抱きかかえると、扉を出ていくのだ。  どこに連れて行かれるのか、理由も無く焦る。しかし、動けない。  ユリの腕から逃れ、あの部屋に戻らなければと思いながら、身体が動かせない。  うぅうぅううと唸りながら、ただ運ばれた。  見つめてくるユリしか見えない、その顔は次第に歪んで溶けて、瞬きをすれば別の人間に姿を変えていく。 「……シンさん……?」 「起こしてしまった?」 「今日はシンさんが俺をおもちゃにしてくれるの……?」 「……今日は……しないかなぁ……」 「そっかぁ……」  残念に思いながら、再びシンの顔はぼんやりと霞がかって消えて行く。    ゴロリと転がり、ふわふわとした感触に目を覚ます。  辺りは薄暗く、月明かりを受ける白い布団だけが明るく見える。  いつの間にベッドに居たのだろうかと思えば、眼の前に大理石で出来た様な安らかな顔が枕にふわりと沈んでいる。シャツの合わせの部分は握り潰された様に皺になり、覗く首筋は長く筋っぽい。  ジンとした違和感から自分の掌を見れば、ボタンが食い込んだ跡がくっきりと残っている。彼の襟首を強く握って眠り、仕方なく同じベッドに眠ったのだろうと容易に推察出来た。迷惑極まりない。  叱られたい。と思いながら、自らの指を噛む。痛みとぐぐっと食込む感触に息が上がる、指を口に押し込み、自らの喉を触ると、ぐぼっと音を立てながらえずいてしまう。ボタリと涙が布団き落ちる。  離れられないなりに辛うじて脱ぎ捨てたであろうジーンズ。下着にシャツ姿のシン、下着を押し上げる生理的勃起を眺める。  博識なユリに教えてもらった、男はレム睡眠の度に勃起をしており、朝立ちもそれだ。エロい夢を見ているとは限らないと。それをわかっていながら、身勝手にその立ち上がった物に興奮していた。どうしてだろうかと思いながら口の中を自らの指で搔き回して、恍惚に浸る。  ぐちゅりぐちゅりと唾液が泡立ち、鬱血する程に指を吸い上げる。 「変態……」 「うっ……あっっ!!」  一言の冷たい罵りに脳は電気が走り抜けた様に痺れ、とろりとした目でシンを見下ろす。 「何してるの?」 「口と指のオナニー」 「馬鹿だな……」  苦笑いをしているのだから、一般的な人程は問題視していない事がわかる。 「普通はね、結構怖いよ。人の朝勃ち見ながら自分の口の中をいじってる人」  柔らかな手付きで顎を掴まれて、唇を撫でる。ふるりと震える唇は期待に満ちている。 「見てたら興奮したのです……」 「我慢出来ないのは性犯罪だね……」 「口しか弄ってないからギリ微妙な所かと……」 「冗談では無いんだけど……しかも、躾けると喜ぶでしょ?」 「嬉しい。躾けしてくれるの?」 「そうじゃない……」  ハァハァと息をしながら、ガチガチになった股間を開いてシンを見返していた。  シンは、はあとため息をついて、掴んだままの顎を引き倒して、ベッドに押し倒される。それだけでも殆ど白目を剥いてビクリと悶えた。 「頭の弱いお前には選択肢をやる……おい、聴いてんのか……?」  顎を揺さぶる。 「うあい……」 「俺の物になるか、ならないか。なるならこのまま躾けてやる。ならないなら……」 「なる……」 「ちゃんと最後まで聴いて考えろ……」 「なる。興奮するから、なる。どうなっても良い。なんでもする」 「そおですか……」  シンは腑に落ちない顔をしつつも、ユウをひっくり返す。そして、尻を剥き出しにするとバチンっとひっぱたいた。それはそれは、小気味よくうわんうわんと空気を振動させて壁にあたって帰ってきそうな程の音だ。 「あう……あう……」  背中を丸めて、叩かれた熱さと空気の波に耐える。 「寝ている間に合意もなく勝手に自慰行為をしてはいけない」  バチンバチンと仕置かれる。 「ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」  ごめんなさいと言う事で興奮している事に気がつく。 「こんな生ぬるいお仕置きで、君が躾けられるわけがないね……」  お尻を抓られて悲鳴を上げた。 「いたいぃ!!!」  シンはカラカラと笑っている。 「あぁ……あぁ……犯されたい……」  お尻を高々とあげて、ユウは自らの肛門を撫で回す。 「本当に想像以上にどうしょうもないな……道具持ってくるから……」 「やだっ少しも行かないで離れないで、出来るから」  自分の立ち上がった極部を撫で回し、強く擦ってさっさと、まるであっさり吐き出した液体を、尻に塗り込んで中に侵入する。 「これで出来る?」 「出来るかバカ。粘度が全然足らんだろう」  引っ叩かれた。 「ん……じゃこっちもぬら……ん? なにこれ?」 「いや、なにってナニ?」 「さっき眺めてたのと同じやつ?」 「うん……? あぁ、さっきは別に勃起して無かったからね。狸寝入りだし。俺、寝る時は上に向けとく派なの」 「ああう……見てるだけでいきそ……」  ゾクゾクと腹の底から疼きが湧き上がる。  下着の上から鼻を寄せ、風呂に入ってないペニスの匂いを堪能する。大して臭くはない所が少し残念であるが、その分独特な香水の香りと溢れている体液の匂いが混ざっている。長いペニスを唇で確かめて、下着を剥ぎ取り、その下着を口と鼻に押し当てて更に深呼吸をする。  シンは大きめの枕を積み重ねて寄りかかって、ニタニタとした顔をしたまま、恍惚に浸り口の端に泡をくっつけたユウを見下ろしている。  シンのニタニタ顔はさらに興奮を呼び起こし、堪能の世界に引きずり落としていく。  口元で味わった下着を自分のペニスにこすり当てながら、シンのペニスに舌を這わせる。 「こっちも濡らして、ぼくも出ひて、シンハンも出ひへ、それでびちゃびちゃしたらいれてくへる?」 「俺出るかな……」 「頑張る……」  ジュブリと唇から弾け出て、べチリとシンの腹に重く落ちる。横笛の様に唇の先で撫でてから、再び先を咥えこみ、めいいっぱいの所で喉に当て、擦り潰す様にマッサージをする。  シンのものは勃起はしていても、反応が鈍い。見上げると、表情も変わらず涼しい。剥ぎ取った下着に擦り付けている自らのペニスはガッチガチで意識的に手を止めなければすぐに射精しそうなのに。  つっぷりとシンの指がユウの尻の中に入る。 「あぅ……あああ……入ってる……」 「唾液や精液は案外サラサラしてるから良くないと思うけど……」 「良い……その方が擦れて、ヒリヒリして、無理矢理犯されてる気がする……」 「ふぅん……」  ユウの口からペニスを引き抜かれて、顎を掴んで引き寄せれば、シンの上に跨る事になる。  さっさと拡張するように指を増やし、緩んだら揺らして更に増やすという事務的な慣らし方で、シンはいよいよ自分のペニスを入口にあてがう、既に指を咥えてぼうっとしているユウを見ると、入れなくても満足なのでは無いかと思えてくる。  それでもギチギチと押し開き、滑りの足りない入口は引き攣っている。 「ああ……ん……ああああ」  ユウはでかい声をあげながら、そのぎっちりとした感覚に酔いしれる。  シンはキツさに息を飲む。 「ああっ!! すぐにいっちゃ……!! あっあっあ!! いく! いく!! 」  何も考えてない絶叫が響き渡る。  

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