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第3章 穢されて

    第3章 穢されて  二十歳(はたち)の時点で非童貞率は、ざっと何パーセントだろう。そのうち卒業できるし、と志木はのんびり構えていた。だが現在(いま)となっては悔やまれる。  、いっそのこと風俗嬢を相手に筆下ろしをすませておくべきだった。  そう、むざむざ純潔を(けが)されるくらいなら。  よりによって(いか)つい獣人から辱めを受ける。それは、およそ悪夢という悪夢を綴り合わせたうえで現実化したような出来事だ。  アナルセックスに興味があるどころか、男と、というシチュエーション自体が堪えがたいものなのだから。 「吐く、かき回されるとマジに吐く……!」 「カマトトぶらずとも、よい。おまえの(なか)は散りしだかれるのが待ちきれぬ様子で、きゅうきゅうと締めつけてくるのだ」  嘲る色が、切れ長の双眸に宿った。の拡がりぐあいを測定するふうに、アルフォンソは花筒にこじ入れた指を小刻みに動かす。 「やめ……んっ!」  しなやかな肢体が弓なりに反り、飾り紐がきらめいた。玉門をいじられたといっても真似事程度だった先夜とは異なり、のちほど荒らし回るという前提のもと、(あん)を練る要領でほどこされる淫技は、執拗のひと言に尽きた。  大胆に且つ、濃やかに内壁をくじりたてられるたび、びくん、びくんと細腰(さいよう)が跳ねる。あどけなさの残る顔は苦悶にゆがみ、それでいて内壁はもてなすかのごとく指にしなだれかかる。もっちりと包んで離さない。 「く、ぅうう……」  鍋底をこそげるような指づかいで、ふぐりへ至るルートを内側からすり立てられると、未知の領域へと通じる扉が、ぎぎと開くようだ。後孔が熱く痺れて、だがペニスをしごいて得られる快感からはかけ離れているせいで、気持ちがいいと単純には言えない。  ただ、ひたすらもがくほどに全身が桜色に染まり、その艶冶(えんや)な光景は征服欲をかき立てる。  アルフォンソ曰く、最愛の弟をボロ切れも同然に使い捨ててくれたヒトは(みなごろし)にしても飽き足らぬ、ゆえに連帯責任だ──。  躾と称して、いたぶられはじめて何分……いや、何時間が経過したのか。溶け落ちてランタンの底に溜まった(ろう)の量と、とろとろと茎を伝い落ちっぱなしの蜜のそれを較べたら、後者のほうが多いかもしれない。 「はぁ、ああ、ふぅっく……!」  唇を嚙みしめるはしから、よがり声がこぼれてはマットレスに吸い込まれる。志木は摩擦で火を(おこ)すように、ごしごしと両手をこすり合わせた。  しかし飾り紐がねじ切れざまアルフォンソを殴り飛ばすどころか、ミミズ腫れが幾重(いくえ)にも手首を走るだけ。

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