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第19話

 だが、生殺しを演出してのけるさまは〝だるまさんがころんだ〟さながらだ。爆ぜる兆しを見せてペニスが反り返ったとたん、指は一斉に静止する。インターバルをおいて、またてんでに動きはじめて、ひしめき合いながら淫らに舞い踊る。 「はぁ、はぁあ、苦し……詰まってる」  繰り返し寸止めではぐらかされるあまり、(くだ)がただれるようだ。パッキンがゆるんだ蛇口めいて、じわじわと蜜がしみ出すから尚更。  あと、ひと押し刺激を与えてくれれば達するところまできている。淫道のあわいに密やかに在る(さね)。ダイヤモンドの原石を研磨するかのごとく、その一点をすりたてれば淫液が迸る──。  アルフォンソは百も承知で、わざと捨て置く。彼が考える性奴の躾の、カリキュラムに沿うように。  志木はランタンへ恨みがましい眼差しを向けた。暗闇の中で嬲られるぶんには、物事がすべてオブラートで包まれる。真っ暗な檻に置き去り、という昨夜は狂おしいまでに欲した明かりが現在(いま)は疎ましい。スポットライトにベッドが照らし出される形になるせいで、秘処がいっそう妖艶に輝くのだ。 「し、つこい……いつまでいじってんだよ!」 「同感である。指がふやけた」  内奥が蕩けていやらしく、さえずるまでかき回されたすえに新たな局面を迎えた。おまえを単なる孔からメスへと昇格させる道具を披露する。そう宣言するように、アルフォンは前立てを留めるボタンを外していった。 「ヒトと番うなど汚らわしい行為ではあるのだが、弟の仇を滅殺するためとあらば、やむをえまい」 「だ~から、おれに八つ当たりするな!」  下着をずらすと、迫力満点の巨根が登場した。ひとしごき、ふたしごきするにつれてエラが張りだし、猛々しくそそり立つ。 「無理、ムリムリムリ、ゼッテー裂ける!」  志木は蒼ざめた。依然として後ろ手に縛られているなかで、尺取虫が伸び縮みしながら移動するふうな(てい)で、大急ぎで這い進む。  獲物の生きがよければ、よいほど狩猟心をそそるのは必至。汗ばんだ肌が蠟燭(ろうそく)の炎に照り映えて、華やいだ花芯がちらつくさまは、なおのこと魅惑的だとは夢想だにしないで。  床に転げ落ちるところを引き戻された。後ろから貫く姿勢をとらされるなり、ひたり、と先端が押し当てられた。 「おまえに過ちを償えと迫るのは道理に合わぬと、わめいても聞かぬ。ヒトが弟の命を奪った罪、万死に値する。ゆえに贄としての責務を全うするがよい」 「やめろ、頼むからやめてくれ。いやだ、いやだぁあああああ!」

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