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第4話

一人、ソファーの上でごろりと横になる。 部屋は静かで、遠くから冷蔵庫の低い音が聞こえるだけだ。 ……俺、何やってんだろう。 意味わからない。 俺は本当に、面倒くさい人間だと思う。 「これ、タオルケットと枕。まだ新しいから安心して」 芳賀が俺の足元にタオルケットを置き、しゃがんで俺と目を合わせる。 「さっき、ベッドが嫌って言ったのは……元カノのこと?」 言い当てられて、思わず視線を逸らす。 「いや、別に。そういうわけじゃないけど……」 言い訳がましく口を濁す。けど、芳賀は怒るわけでも、笑うわけでもなかった。 ただ、「そっか」とだけ言って、静かに頷く。 「宇井が眠るまでここに居ていい?」 「な、何で……?」 「宇井の寝顔見たいから」 カッと頬が熱くなる。 俺はタオルケットで顔を隠した。 「早く寝ろ! 明日も仕事だぞ!」 「照れてるの?」 芳賀は軽く俺の頭を撫でて立ち上がる。 「おやすみ、宇井」 「……おやすみ」 芳賀が部屋に戻り、静寂が戻る。 俺はタオルケットにくるまりながら、天井を見つめた。 付き合うとか、一緒に住むとか、そんな簡単に決められるわけないだろ。 でも―― 芳賀と一緒にいる未来が、少しだけ悪くないような気がしてしまった。 芳賀の第一印象は『冷たそう』だった。  以前芳賀に言った「お前はムリ」は本音だ。 一見人当たり良さそうなのに、目が笑ってないというか、冷めているよつにみえた。 同期で団結して頑張っていこうとしているのに、一人遠くを見ている感じがした。  顔がよくて、親が金持ってると、いい顔しなくても人がよってくるんだろうなと思った。 まさかこんなに面倒見がいいヤツだと思わなかった。 俺がしつこくしても嫌な顔しないし、俺のくだらない話にも付き合ってくれる。  一緒にいると楽しいし安心する。

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