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第17話
「世一、最近無理をしていないか」
トレーニング上がりの世一に俺はドリンクを渡した。
「サンキュー冴。俺別に無理してないよ?」
身体的に世一は絶好調なのは俺から見ても重々承知だが、メンタルが弱っていたらそのうちに身体にもガタがくるだろう。
「今日はもう部屋で休むといい」
「え、なんで?」
俺が休めと言っている理由は二つある。
一つ目は世一を休ませたいという純粋な気持ちだ。
そしてもう一つは、凛の所属しているリーグがシーズンオフに入ったからだ。
きっと愚弟は部屋に転がり込むだろう。
「世一は俺のような兄が欲しいと言っただろう。ならば今は俺が兄だ、兄の言うことは聞けるだろう」
俺は世一の頭を撫でてやった。
すると彼は苦笑いを浮かべて一言述べた。
「冴はズルいなぁ」
世一は俺の言う通りトレーニングを早めに切り上げた。
それを見ていた士道は笑って言った。
「おーおー、潔は冴ちゃんの気持ちが分からないかぁ。ドンカン♡」
「決定ではないがな」
「決定デショ。SNSで冴ちゃんのオトートが空港にいた写真乗ってたし、っていうか冴ちゃん見てないの?」
俺は今士道龍聖がSNSをしていることすらはじめて知った状況だった。
「オトート君の嫌がらせに潔とセックスしよーと思ったのに残念」
そういえば凛と士道の相性は最悪だった事実を思い出した。
もし士道も世一に手を出していることを凛にしれたらきっと殺し合いになるだろうし、それこそ世一を巡ってのスキャンダル記事としてスポーツ誌にネタを提供しかねない。
「今日は冴ちゃんが変わりに遊んでよ?」
士道は企み顔だ。
きっと世一と凛に手を出さないから、その代わりを俺にさせようとしているのだろう。
「一杯だ。それ以上はない」
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