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第18話

士道と酒を一杯だけ酌み交わし部屋に帰ったら案の定凛は居た。 そして思っていた通り世一は俺に手を出されていることを話していた。 きっと凛は世一を責める気だろうが、そんな権限は無いことを伝えると、案外素直に黙った。 その代わり近所の公園で一対一でサッカー勝負をした。 凛が勝利の場合ルームシェアを解消する、俺の勝利ならば関係は続行という提案だった。 こんな勝負を持ち込むくらいに興奮している愚弟に負ける等有り得ないことだと思いながら挑み、思っていたよりも我を忘れていた凛に俺は圧勝した。 俺は勝利をしたが、それと同時にこんなにも熱くなれる凛が羨ましいと思った。 だから気付いた。 そんなに熱い感情に左右される凛だからこそ世一は好きなのだろう。 だから俺は凛にまたいつか勝負をしようと約束をしていた。 俺はサッカーでは勝利したが、凛には負けているのだ。

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