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第25話

その日はジムで俺と世一は身体をいじめ抜いた。 「冴ちゃーん。となーんだ、潔か」 「俺がいて悪かったな」 楽しい時間を過ごしていたが、このジムには士道龍聖も会員なのだ、一気に興醒めした。 「あは、ウソウソ。潔にも会いたかったって♡」 「どうだかな、なんかそれこそ嘘っぽい」 「ホントだよー?久々に潔とセックスしたくなるくらい会いたかったぜぇ?」 士道の中は昼間から花が咲いているようだ。 こんな誘いに世一が乗るわけがないと思っていたら、彼は急に苦笑いになって答えた。 「冴が居るところで堂々と誘える士道が凄いわ」 すると士道は急に真面目な表情になり、あからさまに不機嫌なオーラを出した。 「するのしないの」 「する」 世一の返事に俺は半ば驚いていた。 それほどまでにこの二人は親しかったのだ。 「おっけー、終わったら俺の家に来て♡」 それだけ言うと士道は俺達の前から去っていった。 「驚いただろ、冴」 「ああ」 世一がそんなに軽い奴とは思っていなかった俺は確かにこの返事に驚いた。 「冴が思っているより、俺は良い人じゃないんだ」 世一のその言葉はどこが愁いを帯びていた。 「どうしてだか分からない?」 「……」 聞かれても俺には検討もつかなかった。 今のやり取りで分かったことは世一は凛や俺じゃなくても抱かれるということ、それしかない。 結局俺は彼に弄ばれているのだろうか。 そう考えるととてつもなく悔しかった。 「夕飯はどうする?」 「冴と食べる」 まるで穢を知らないような表情で笑って答える世一は限りなく小悪魔だ。 天使のようで小悪魔な彼にも惹かれてしまう自分は限界に近付いていた。

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