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猫(番外編) セイヤとカイト

「お前たち!よそのお宅にご迷惑かけたって聞いたニャ!お前たちはいつもいつも……!バカモンがー!」  お父さんの雷が落ちる。  怖い。ある意味ホンモノの雷よりも怖い。 「悪い子にはおしおきニャ!」  お父さんは僕らの首根っこを掴んで引きずった。 「うにゃー!ごめんにゃー!」 「反省してるにゃー!」  僕らはバタバタと暴れるが離してもらえない。お母さんは困った顔で見てるだけ。誰もお父さんには逆らえない。  “いつもの”物置部屋の前に連れてこられた。 「……」  ゴクッと隣のカイトの喉が鳴った。こっちを一瞬見る。何が言いたいかわかるからザワッと毛が逆立った。  お父さんは物置の扉を開けて僕らを押し込んだ。 「今日のご飯は抜きニャ!反省しろ!」  バタンと閉じられる。 「ご飯抜きはいやにゃー!」 「ごめんにゃー!」  扉をバンバンと叩くが、中からは開かないことはこの物置の常連だからよく知ってる。  ──僕らはいつも楽しいことを追求して全力で遊んでる。  なのにいつも怒られる。なんでだ?  今日のターゲットは、あの黒猫だった。それだけ。あいつの名前は……くりまる、ころまる、まるまる……なんだったっけ?  バン!! 「!?」  考え事をしてたから、カイトが扉を叩いた音にビックリした。 「セイヤ、見えるかにゃ?」  扉の隙間から少しだけ廊下が見えるので、カイトと一緒に外を覗き見る。うっすらとお父さんが尻尾を揺らしながらウロウロしているのが見える。数回物置の前を歩いて……部屋に戻っていったようだ。 「もういなそうにゃ」  カイトが舌なめずりをした。 「じゃあ、ニャンケンするにゃ」  僕は再び毛が逆立つ。これからする“遊び”を想像して、僕も口を舐め、前足を出した。 「いくにゃ」 「「ニャーンケーン、ポン!」」 「「あいこにゃ、ポン!」」 「「あいこにゃ、ポン!」」 「「あいこにゃ、ポン!」」  双子なだけあって、なかなか勝負がつかない。いつものことながらちょっとイラッとする。  でも、僕らは元々は五つ子だった。  普段はすっかり忘れてるのに、昼間ご主人様が言ってたので急に五つ子だったと思い出した。  兄弟たちの顔は全然覚えてないけど、すっごく小さかったのだけは記憶にある。僕も、カイトも。  みんなで楽しく遊んでた時、突然大きな怪物が来て、僕らの兄弟をさらっていったのだ。  あとでご主人様が“さとおや”とか言ってたけど。  お父さんとお母さんを呼ぶ兄弟の叫び声が聞こえた気がした──。 「ポン!」  カイトの声にハッと我に返った。 「うにゃったー!勝った!!」  カイトが喜んでる。にゃー!悔しい!ちょっと別の事考えてただけなのに! 「早く脱ぐにゃ」  カイトの目がキラッと光った。 「お前もにゃ」  僕も負けじと応戦する。  ご主人様の好みの服を着せられてる僕らだけど、ホント脱ぎにくいったらない。このズボンってやつは特にキライ。足のところが細くなってて特に脱ぎにくいのだ。 「早く脱ぐのにゃ」  もう脱ぎ終わってるカイトは、僕を急かしてズボンの裾を引っ張ってくる。息が荒くて、もう興奮してる。  僕は痛い目に遭うのがわかってるから、ついノロノロしちゃう。 「早く!」  ようやくズボンを脱いだ僕は、背中を押されて仕方なく四つん這いになる。上半身は床に付けて、尻を高く上げる。  カイトがフフッと笑って、僕の尻の穴を舐めた。 「……っ!」  いつもはそんなことしないのに。なんで舐めた?  僕の尻を左右に広げて舐める。 「んっ、やっ」  穴の中にも舌が入ってる……?僕は全身の毛が逆立って、爪がガリッと床を引っかく。穴とか色んな所がピクピクしてる。  早く、早く終わらせてよ……! 「カイト、遊んでんにゃ……っんっ」  カイトは穴から舌を出して、そのまま背中のほうまで舌で舐め上げた。  ゾワゾワッとした。 「りょーかいにゃ」  そう言って、僕の穴にカイトが狙いを定めたのがわかった。穴を広げて入れやすくしてる。  僕も覚悟を決めて目をギュッと瞑った。  グリグリッとカイトが入ってきた。 「っ!うにゃっ!あああっ!」  この時がいつも最高に痛い。尻が分解しそうなくらい。カイトは容赦なく一気に突っ込んでくる。 「ああっ……ん───っ」  僕は声を抑えきれなくて、慌てて声を殺す。万が一お父さんとかにバレたらマズイから。遊んでるなんてバレたら怒られちゃう。  この“遊び”は僕たちだけの秘密。  少し前まではここは僕らが走り回れるくらい広かったのに、急にこの物置部屋が縮んだんじゃないかと思えるくらいにものすごく狭くなった。  すると出来る遊びは限られてくるので、いつの頃からかこの“遊び”がここの定番になった。  ニャンケンで勝ったほうが負けたほうに“挿れる”、単純な遊び。  しかも気持ちいい。  負けたほうは痛い。それが面白い。  僕の中の奥の奥まで到達して、カイトは僕に密着した。  一瞬の間があった後、カイトは身を引いて、再び僕の奥に打ち込んだ。 「ん────っ!!」  尻が痛い。穴が痛い。穴の中とカイトが擦れる度、ヒリヒリとする。涙が出る。  何度も何度も擦られ続ける。段々動きが早くなるし、僕の穴の中のカイトも大きくなっていく。 「はあっ、はあっ、きもち、いい」  カイトが嬉しそうに呟く。  あの黒猫が大人しくしてれば、僕も気持ちいい思いが出来たかもしれないのに。あんなに必死で逃げるから、お父さんに怒られるはめになったのだ。  急に腹立たしくなってきた。  あの、くらまる?くしまる? 「きょうの、くろねこ、なまえ、なんだったかにゃ?」  カイトに聞いてみる。 「しらないにゃ。きょうみ、ないにゃ」 「きになる、にゃ」  突然、カイトが僕の首に噛みついた! 「んにゃ!」 「別のやつのこと、なんて……考えるなにゃ!」 「んっ!あっ……!!」  強く打ち込まれて激しく擦られる。 「にゃっ、んっ、あぁっ……」  全身が揺れる。  やがてヒリヒリが麻痺してくる。僕の中の引っかかりがなくなってきて、ヌルヌルと動く感触がわかる。  ……気持ちいい。  口から垂れたよだれを舐めながら、僕はその感触がしっかりわかるように尻に力を入れた。  背中のカイトが「……うっ!!」と唸った。そして僕の上と中で震えながら体重をかけてくる。 「んっ!う──っ!!」 「あっあっ──」  僕の中にカイトの大量の温かいオシッコが広がるのがわかった。白くて変な匂いの。  僕も床にたくさん零してしまう。  二匹で脱力して重なったまま動けない。まるで僕たちの体が溶けて混ざったみたい。  でも割とすぐにカイトは身を起こすと、一気に僕の中から引き抜いた。 「んんんっ!」  穴の中から全身にゾワゾワッとしたものが走った。  カイトはドカッと壁を背に座る。まだ息が苦しそう。息を落ち着けながら、白いオシッコを舐めてる。  “証拠隠滅”ってやつ。  折角、僕も気持ちよくなったところだったのに。もう終わり? 「カイト、ちょっと待てにゃ」  なんだか物足りなくて、カイトを止めた。 「なんにゃ?……ダメにゃセイヤ。もう終わりにゃ」  僕がなにを言うか、したいかバレてる。こういう場合、兄弟は損だ。 「終わりじゃないにゃ!」  それならその気にさせればいい。僕は無理矢理カイトの股の間に顔を入れて、掴むと口に咥えた。  カイトは怒って僕の頭に爪を立てた。でも、引っかいてはこない。  僕はカイトが気持ちよくなるツボを知ってる。下のところを擦るといっぱい感じちゃうのだ。  深く咥えたり先を細かく舐めたりすると、すぐに固くなった。カイトの白いオシッコが僕の顎を伝う。カイトの先っぽからもちょっとだけ溢れてる。  ジュルッと音を立てて吸うと、カイトは気持ちよさそうに喘いだ。僕の頭を撫でてくれる。 「……お願いにゃ」  カイトを見上げてお願いした。カイトの先の窪みに舌を這わせる。……また大きくなった。 「は、はあっ、……っ、仕方ないやつにゃ」  カイトは頷き、カイトのオシッコがいっぱい付いた僕の前足を舐めてくれた。それから僕の顎に垂れたオシッコも。顎から辿って口も舐める。  くすぐったくて僕もカイトの口を舐めた。舌同士が絡み合う。  カイトがなぜか僕の服の中に前足を入れて乳首に触れた。 「……っ!!」  すごく敏感になってる。ちょっと触られただけなのに、痺れるし乳首が固くなってるのがわかる。  違う、そこはいじってほしいところじゃない。 「うにゃ、っや、そこはっ」  僕はカイトの前足を外そうとするけど、カイトはイジワルそうに笑って両後ろ足で僕の腰を抑えると、前足で執拗に乳首を攻める。  僕は背中を逸らせて逃げた。なんとかうつ伏せになろうとするも、仰向けにさせられてしまう。 「今回はこっち向きでするにゃ」 「……?」  どうやって?と聞く間も無く、僕の足を上げて尻の穴にあてがうと、カイトは一気に侵入してきた。 「っ!あっ──!!」  二人ともヌルヌルだから、さっきよりはスムーズに入ったけど、慣れない体位に僕は戸惑いを隠せない。 「いやにゃ、こっち向きは変にゃ」 「変なのは面白いにゃ。楽しむにゃ」  カイトは腰を動かし始めた。 「あっ!やっ…!あ、あんっ」  いつもと違うところが擦られてるみたいで怖い。眺めも全然違う。カイトの表情がよくわかる。僕のモノが揺れて、先っぽから滲み出てる。 「どうにゃ?満足かにゃ?」  カイトが聞いてくる。僕は仰向けの不安が拭えない。 「なんか、変……っ」 「これは?……それか、これは?」  カイトがゆっくり動いたり、早く動いたりしてくる。 「わか、んにゃいっ」 「我がままなやつにゃ」  カイトは腰をリズミカルに動かす。ペチペチと僕とカイトが当たる音がしてる。 「……──っ!あ、あ、あっ、あっ」  急に感じて声が出てしまう。カイトが舌なめずりをして笑いながら聞いてくる。 「気持ちいいにゃ?」  僕は頷いた。 「きもち、い、っん、あっ、んにゃん、あんっ」  もう言葉にならなかった。  カイトをもっと感じたくて密着する。 「あっ、あ、は、はあっ」  カイトも感じてるみたいで、喘ぎ声を出してる。顔が近い。  そして僕らは尻で繋がりながら、口でも繋がった。  何度も何度も、僕らは果てては再挑戦して、この“遊び”は二人同時にギブアップするまで続いた。  こんな楽しくて気持ちいい遊び、やめられない!

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