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 まるで、今この場にヨシュアがやって来たようだ。ふとそんなことが思い浮かんだ。彼ならこのカップを持っていても何ともおかしくない。 「……何を考えてる」  ただの隣人がすぐに思い浮かぶなんて。  その存在を忘れるためにトーマは一気に飲み干した。  いつもとは違うことにすっきりしないが、それでも仕事に向かわなければならない。  改めて気を引き締めたトーマは、足早に店を去っていった。  ***  トーマは仕事を終え、家路へとついていた。 「……ん?」  しかし、いつも通るその道は、人だかりができて通れなかった。  何事か知るために隙間を縫って少しずつ前へと進んでいく。  少ししたところで、警備の服を纏った人たちが道を塞いでいた。

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