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 ***  案内されて着いたところは、通ったことのない道にある行ったことのないカフェであった。テラス席には色とりどりの花が並んでいる。  どうやらヨシュアはこの光景が目的だったらしい。目にした途端、いつもより花を舞わせているように見える。  トーマは思わず微笑んでいた。 「俺が注文してきます。何がいいですか?」 「あっ、僕も一緒に行きます。メニューが分からないので」  そう言われ、トーマはヨシュアとともに歩き出した。  休日の早い時間であるためか、人はあまりいなかった。すぐに順番となった。 「エスプレッソをお願いします」 「えっと僕は、カフェ・クレームをお願いします」 「かしこまりました。お席までお持ちいたしますね」  会計を済ませ、二人はテラス席へと向かっていく。この辺りは暖かい気候とはいえ、今の時間はまだ少々寒い空気であるため、ほとんど人はいなかった。

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