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「そうだったんですか。俺も、仕事の日に同じ場所で飲むだけなので、こういったお洒落なところは初めてです」 「意外です。トーマさんはてっきりお洒落を求めているのかと思いました! 普段の格好も素敵だなと思っていたんですけど、今日の格好も素敵だなって」 「ははっ、ありがとうございます。俺は、お洒落よりも同じことをする方が性に合ってますね」 「同じこと……?」 「毎日同じ時間に起きて、毎日同じ流れで行動して……。だから、ついつい服も同じようなものばっかりになってしまっている気がします」  だから、今日こうして一緒に出かけていることはいつもと違う流れである。  けれども、不思議と楽しい気分が続いており、今日こうして会えていることに感謝をしている。  口に出すには恥ずかしい気がし、トーマは口角を上げるだけで終わってしまった。  一方のヨシュアは、顔が少し暗くなっていた。  トーマは少し慌てて口を開く。

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