13 / 20
13
「ヨシュアさん、今日はこうしてご一緒できて嬉しいですよ。こうして美味しいものを口にできていますし、新たな発見ができましたし」
「ほ、本当ですか……? よかった……」
ヨシュアに笑みが戻ってくると、彼の周りに淡いピンク色の花が舞っているように見えた。
時折見える花はまるで本物のような印象を与えられ、けれども地に触れると同時に跡形もなく消えていってしまう。不思議なものだ。
ヨシュア本人は気にしている様子はないので、きっとトーマが勝手に見えているものだと思っている。
「ヨシュアさんは、休日は何をしていますか?」
「休日……。僕、仕事でも家でも花に触れることしかしていないですね。生きがいなのでとても楽しいですよ。それと、夢を叶えるために今は懸命になっている状態です」
「夢とは……?」
「世界のどこかにある、花の舞う街へ行くことです。どこにあるのか、そもそも存在しているかは分からないですけど、空いっぱいに花が舞う光景を、一度でもいいから見てみたいです」
「素敵な夢ですね。ヨシュアさんの夢、絶対に叶ってほしいです」
「ありがとうございます!」
満面の笑みを浮かべるヨシュア。淡い色がいくつも浮かび上がってくるその表情は、トーマの顔を優しいものにさせていた。
ともだちにシェアしよう!