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 ***  仕事を終えて帰宅すると、トーマはヨシュアの家の方を見ていた。  何がどうと説明はできないが、いつもと雰囲気が違う気がした。  トーマは自分の家に入らず、ヨシュアの家へと向かっていく。  近付いてみると、ドアが少し開いていた。泥棒でも入ったのかと思い、トーマは急いで中に入る。 「ヨシュアさん……」  部屋の中は薄暗く、荒らされている様子はなかった。  だが、入るなり溢れんばかりの花で床いっぱい埋め尽くされていた。そのどれもが萎れていた。  どうして溢れているのだろうと考えているうちに、ふといつものヨシュアを思い出す。  嬉しそうなときは、決まって花を舞わせていた。そのときの花と、今ここにある花は同じ形をしている。  今までも見えていたあの花は、本物だったと考えられる。  だとすれば、ヨシュアはどうしたのだろうか。

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