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 そういえば、『あの時は』お互い上衣を着たままだった。  イオがトールの服をも脱がそうとする。彼もそれに従う。脱がされた服は寝台の脇へ。 白すぎない健康そうな素肌の、そこだけ妙に艶っぽい場所ーー鎖骨の窪にある、痣。今は紅く染まっている。  イオは、そこに指先で触れた。 「残っているのはーーここだけか。あとは消えてしまったか」  あの日、身体中につけられた所有の印は、その一か所を除き、綺麗に消えてしまっていた。 「まあ……。何度でもつける。俺のものである(しるし)を」  まずは、『そこ』に口づけ。甘噛みして、強く吸い上げる。更に紅く染まる。 「ん……」  それだけで、トールの口から甘やかな吐息が漏れる。  イオは両肩を柔らかく掴み、そっとその身体を、シーツの上に沈ませた。  柔らかな寝台の上。 『その為』にだけにあるようで、何処か淫靡に感じる。  肌と肌が触れ合う。両方とも熱い。  熱い……。  肌と肌が触れ合うって気持ちいいんだ……。 「あ……」  太腿にイオの熱を感じる。  もう、こんなに。  それにトールの肉体(からだ)も煽られる。  (しるし)への口づけから始まり、少しずつ下へと下りていく。先程弄られた胸の頂きも。  乳首を口に含まれ、舌でころころ転がされ、ぎゅっと強めに噛まれ、ぢゅっと乳輪ごと強く吸われる。 「あぁ……ん」  初めての感触に喘ぎが零れる。  もう片方も指先で弄られ、胸の辺りから甘く痺れ始める。  一本の棒のように固く尖らせた舌が、胸の中心から下へと滑っていく。臍の回りを舐め、もっと下へ。  イオが器用に下衣とズボンを脱がす。寝台の脇に落ちる微かな音がした。  全てが露になり、トールは羞恥に悶える。だいぶ勃ちあがってきた熱を、自分の手で隠そうとするが、それを遮るようにイオの口のなかに収められてしまう。 「ん……やっ……! イオ、それだめ……っ」  既に経験済みではあるが、それはさせては駄目な気がした。 「前にもしたろう?」 「だから、いやなんだって。父さんに、そんなことさせるの……」 「ーーもう、父親じゃないだろう」  ふふっと可笑しそうに笑う。 「だって……」    そう……父親じゃない。  頭ではわかってる。  でも、父親として暮らした年月が長くて、気持ちのほうが追いつかないんだ。 「気持ち悪いか?」 「…………」  先程から喋るのも笑うのも、口に含んだままなので堪らない。  それだけでーー。 「……気持ち良すぎる」  頭が蕩け初め、ついに正直な気持ちを吐露してしまう。 「だったらーーもっと気持ちしてやる」  それきり、イオは黙ってしまった。  口に含んだまま、舌を使う。棹に巻きつけたり、ちょろちょろ舐めたり。強く吸い上げたまま、じゅぽじゅぽ上下に動かす。 「あぁぁ……ん……やっ……ん」  蕩けきってしまい、『父親にされている』という羞恥も何処かへ飛び、はしたなく喘ぐ。

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