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 つんと、後口を爪で引っ掻かれた。 「ん……っ!」  あからさまに言われ、言葉を返すことすらできない。全身が紅く染まっていそうな気さえした。  イオが身動きをする音がしたかと思うと、あっという間に抱き竦められ、更に反転させられる。後頭部は、ふかふかの枕の上だった。 「でもーーまだ、足りない。お前に痛い思いをさせたくないからな」  たらたらと自分の掌に小瓶の中味を垂らしている。その油は、掌から零れ、トールの腹の辺りをも濡らしている。  あれ……いつの間に……。  抱き竦められた時には、持っていなかったような気がした。今イオがいる場所からだと、衣装棚の上の小瓶には届かないような……そんな疑問も、イオの行為により霧散する。  イオのぬるついた手で、後口も再び熱を持ち始めた昂りも(こす)られ、背筋が甘く痺れる。 「ん……あぁ……ん」  長い指が狭い入口から体内に入り込んでくる。 「あぁぁんっ」  その指はゆっくりと抜き差しを繰り返す。軽く壁を()り、時には強く押す。時間をかけ、丹念に解されていく。  『あの時』は、いきなり貫かれた。それでも何の痛みもなく、ただ快楽だけを与えられた。どんなに激しく揺さぶられても、だ。 『神は快楽だけを与える』  そう言ったイオの言葉通りに。  今はその力もない。それ故痛みをなるべく与えぬように、こうして準備をしてくれている。それは、神の快楽よりも、いっそう甘さを感じさせた。 『もう持ちそうにない』という言葉が嘘としか思えない。そんな余裕すら感じさせるくらい、長く長くその行為は続けられた。逆に、トールのほうがそれに耐え切れなくなる。 「イ、イオ。も、ダメ。また、出ちゃう。出してい?」  可愛くおねだりしてみるが。 「駄目だ。今度は俺と一緒に」  厳しい口調で阻まれたことに、驚きを感じた。「え?」とさえ言う間もなく、しゅるるーっと今にも爆発しそうなそれに、何かが巻きついた。吐き出すこともできないくらいに、根元の辺りはよりきつく締めつけられている。  な、なに?  自分の昂りに視線を向けると毛の生えた細長い紐のようなものが巻きついていたーー 一番先に房のある……色は、白銀。  これって何だか……。  白銀の獅子のしっぽに似てる……。  だいぶ、長いけど。

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