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(最近は通販もあるけど、やっぱり会場でこうやって並ぶのが醍醐味だよね。それに会場限定のものもあるし)  開園一時間前、漸くグッズ売り場に到達。  不審な男の前にはあと五人ほどいる。彼は売り場の上にある看板に目を向けていた。販売されるグッズの写真が並んでいる。 (ペンライトは当然だろ)  トートバッグの中には今までの三年間のペンライトも入っている。 (それから内輪。なんと! 今回は三種類もあるっ。どれも尊い〜。かーっどれにするか悩むなー)  勿論トートバッグの中には前回の内輪も。更に自分で作成した『煌さま笑顔ください』だとか『バーンしてっ』だとか書いてある煌びやかなものも。  トートバッグ自体前回のグッズだし、ダボッとしたジーンズのジャケットの下のTシャツもグッズだ。 (タオルもかっこいいしっマグカップもいいっ)  などと心の中で叫んでる間に彼の番が回ってきた。 「うぉ〜まだ決めてない〜どうしよう。えーとっパンフとペンライト、内輪はこれ」  とカラー写真でグッズを載せたシートの内輪を指差す。 「あとフォトセットはこれとこれ、それからタオル」  一気に言い終わるとその列の担当スタッフがにこやかに復唱する。 「パンフレット、ペンライト、内輪2、フォトセット1と3、タオルですね」 「んーあ、やっぱり内輪1、いや、3も追加であとマグもっ」 「はい内輪3と、マグもですね」  再びにこやかに……というか、笑いを噛み殺しているような感じで復唱する。両隣のスタッフも同様。周りのフ女性たちもくすくすと笑ったりヒソヒソ話したりしている。  天城彼方はそんなに背も高くない。顔はこんな女子いるかもという感じの可愛い系。それを帽子とマスクと眼鏡で顔を、ダボッとしたジャケットとジーンズで体型を隠しているので「もしかして女子かも?」と思わせる。しかし、喋ってはダメだ。声が完全に男だった。 「何やってんの、早くしてよ〜」という野次すら飛ばないくらいに注目されていた。  しかし、そんなこともまったく気にせず受け取ったグッズをトートバッグにしまい、ほくほく顔の彼方だった。 「はぁ〜美しい。尊い〜」  会場内に何枚もある煌のパネルをきらきらした瞳……は眼鏡で隠して、見つめている。他の女性たちに混じってパシャリパシャリ。  席に着いたのは開園三十分前。  ステージからは遠い遠い三階席。高性能の双眼鏡を出し、まだ誰もいないステージを眺める。それから右横の上へと移動する。 (今日は誰か来てるのかな。なないろ? それから、あれレオンさんと朝陽さん。雑誌の撮影の後かな)  彼方が見ているのは二階席のガラス張りのブース。そこは特等席で有名人やSAKUプロのアイドルたちの為にある。  

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