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(煌さんの、勃って……なんでなんで)  衝撃的過ぎて彼方の頭は真っ白になる。 「なんだお前も勃ってきてるじゃねぇか」  アンクル丈のスウェットパンツの中に手を突っ込まれてもすぐに反応できなった。スウェットパンツどころかその手はすぐに下着の中にまで入り込み、彼方の少し勃ち上がってきているそれに直に触れてくる。 「ひぇぇ〜」  変な叫びが漏れてしまう。 「ひぇぇって。あはは」  めちゃくちゃ笑われた。 「お前、童貞? 他人に触られたことないのか?」 「そそそそそそそんなこと」  思わず吃ってしまい余計に笑われる。 (すみませんねっ煌さんみたいにもてなくてっ。だいたいおれの青春煌さんに捧げてるんだ、彼女なんてっ)  そんなことを心の中で叫んでいる間に軽く擦られる。 「んんっ」  じわりとした痺れのようなものを感じ、彼方のそこは更に強度を増す。彼女がいたこともないし、自分でもそんなに頻繁にはしたことがなかった。その辺は淡白だと彼方自身さえ思っていた。過去に他人に触れられたことなどなく、悔しいが煌の言っていることは当たっている。  だから誰かに触られているというシチュエーションだけでもクルものがあるのに、その上それをしているのが推しなわけだから余計だ。 (し、しかたない。煌さんに触られたらっ。っていうかなんでこういう状況になったんだーーー)  身体の変化とは裏腹に心の中はまだ泡食っている。 「めんどーだな」  ぼそっと聞こえたかと思うとずるっとスウェットを下着ごと腿の辺りまで下げられる。そうなるとどうなる? 勿論彼方のすっかり勃ちあがったそれはぶるんと外に飛びだすわけだ。そして煌も素早くベルトのバックルを外し前を寛がせ、自分のモノを露わにした。 「こここここここ煌さんっ」  両手が自分から離れた時点で押し退けることもできたかも知れない。でもこの時の彼方にはそれすらする余裕もなかった。自分より立派な煌のモノを見て赤面して、きゃーっと両手で顔を覆うくらいだった。  煌の行動は流れるように素早く、気づくと彼方のも一緒に握られて擦られたいた。 「ああんっ」  さっき以上の快楽が押し寄せてくる。じわりどころではない。背筋を駆け上ってくる。 (なになにっこれっきもちぃぃ) 「気持ちいいな」  はぁと吐息が首筋にかかったかと思うとちゅうときつく吸われる。 (あ……イク……っ) 「イキそ……っ」  彼方がそう思ったのと煌がそう口走ったのはほぼ同時だった。 * * 「煌さんて……ゲイ……なんですか?」  お互い汚した服を着替えた。リハーサルで汗を掻くことを考えて着替えを持っていたのは本当に運が良かったが、まさかこんなことで使われるとは。

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