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「何今更隠してるんだ、昨日全部見たのに」  煌もすっかり覚醒したのかいつもの意地の悪そうな調子で言う。 (わぁーやめてー言わないでー)  寝転んだままじりっと煌が近づいてくる。 「顔真っ赤だな」  ふふんと鼻で笑う。  煌の言う通り彼方の顔は真っ赤だ。いや、顔どころか全身真っ赤だった。  じりじりと更に近づいてくるので彼方はぐるんと反対側を向いて上掛けの中に縮こまった。 「何恥ずかしいのか?」  声はもう間近だ。吐息が耳を掠めるくらい。煌も上掛けの中に顔を突っ込んでいたのだ。 「もっと恥ずかしいこと昨日したのに?」 「ひやぁぁ」  思わず変な声が飛びだした。  煌の指先に背筋を撫でられ、つるんと裸の尻も撫でられたからだ。  もうすっかり昨日のことは思いだしていた。そんなふうに触られた否応なしに意識してしまう。  昨夜はいつも通りの横暴さで煌に連れ去られてしまった。いつも通りだがいつも通りではない。妙に余裕のなさを感じたし、煌の自宅に連れて来られたのは初めてだった。  玄関からそのままベッドのあるこの部屋に引っ張られて来た。そしてベッドに放り投げられる。  終始無言だったけど、きっといつもの『アレ』をするのだろうと思った。煌がソレをする理由についても自分の気持ちについてもいろいろ疑問はあるものの、結局自分も流されて気持ち良くなってしまう。半分慣れてきてしまっている。  しかし昨夜は少し状況が違っていた。いつもは最初の時のように楽屋や個人レッスン室などでされる。たまたま二人きりの時に煌がそういう気分になるという感じだが、今回はソレをしたい為に自宅に連れこんだ感が大きい。しばらくできない状況だったから『溜まっている』というのももしかしたらあるのかもとは思ったが。  ベッドの上というのも初めてで、服をすべて脱がされたのも初めてだった。  それから――。 (ぎゃあぁぁぁ)  昨日の出来事をくまなく反芻して叫びたい衝動にかられた。  いつものように二人で擦り合わせるだけじゃなく、その凶器のように猛ったモノで貫かれてしまったのだ。 (めちゃ痛かった)  今まで感じことのない痛みだった。 (でも……最後はおれもイッたし、ちょっと気持ちよかった……)  そしてそのまま彼方は眠ってしまい目が覚めて現在に至るというわけだ。  冷静になって考えてみる。 (何故おれはそれを許したのか……)  いくら煌の力のほうが強いといっても本当に嫌だったら殴ってでも止めていただろう。 (たぶん、おれは煌さんのことを……)  そして、煌は何故いつもとは違って完全にセックスをしたのか。 (もしかして……昨日はめちゃめちゃ怒っていたとか?)  リハーサルの時もいつもと様子が違うような気がした。  

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