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(ぜったいわからないと思ってたのにぃぃぃ)  絶対知られたくなかったし、知っているとは思わなかった。一人であわあわしていると煌に半分呆れられたような眼差しで見られる。 「なんでわからないと思うんだ? 俺のライヴに来るのは九十九パーセント女だぜ、男は彼氏か家族の付き添いくらいで俺への熱量は感じない。握手会やチェキ会の列に並ぶのなんかもうゼロだ。そんな中で毎回並ぶ男なんてお前くらいなもんだろ」 「えっでもっでもっ。大勢の中の一人だしっ。それにそれに目立たないようにしてっ」  帽子も被ってマスクもして眼鏡もしていた。 「帽子深く被ってマスクして眼鏡してたのに、か?」  彼方が言おうとしたことそのままを煌が言う。 「逆に目立ってるしっ」  煌にはははっと笑われ、彼方はううっと頭を抱えた。 「まぁ……まさか、SAKUプロの中にいて俺の相方になるとは思わなかったけど。社長室で顔合わせた時はめちゃ驚いたわ〜」 「それだって! すぐにわかるとかおかしいでしょ」  ライヴやイベント参加の時とはまるで違う、帽子もマスクと眼鏡もない。服装も髪形違うのに。 「あ、そう言えばなんでだろ、すぐわかった。こいつここまで追っかけてきたのか? 俺のこと好き過ぎだろうって笑いそうになった。実際どうだかわからなかったけど、こいつに俺の素を見せたらどうなるんだろうな、って思いはした」  誰? と思うほど雰囲気も態度も言葉遣いも違う煌に初めて会った日のことを彼方は思いだす。 (そりゃあめちゃ驚いたよ〜別人かと思ったよ〜)  悪戯っ子のような顔をしていたかと思うと今度は少し翳りを見せた。 「でもお前、時々憧れの眼差しみたいのをちらっとは向けてくるけど、面と向かっては笑わないし、突っかかってもくるし」 「え? おれそんな目で見てました?」  うんと頷かれ、隠そうと頑張っていたけど漏れていたらしいことが判明した。 「たぶんあの社長がまた妙なプロジェクトを立ててんだろうとは思ったけど。そう思っても、緋色に俺には見せない笑顔を見せたり、親しげにしているのを見たらなんだかもやもやして……腹が立って。ぶっちゃけ嫉妬って奴だな、まぁ、あとから気づいたことだけど」 「嫉妬……煌さんが……?」  煌の言葉に驚いて、そして噛みしめる。 「可笑しかったら笑え」  自嘲気味に彼は言ったが勿論笑うはずがない。ぶんぶんと首を横に振る。 「………」 「………」  しばらく二人とも黙りこんでいたが。 (煌さんが……嫉妬なんて……可愛すぎる〜)  実は頭の中でそんなこと考えていると知ったら煌は怒るに決まっているので、絶対にばれないように無表情を装った。  

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