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* *  二日間ほとんどベッドの上で過ごした。  お腹が空いたら煌が作り、食べ、そしてセックスして抱き合ったまま眠る。一緒に風呂に入ってセックスしてまたベッドでーー。  身体は怠いが彼方の心は満たされていた。  それにしても。 (煌さんがこんなに……恋人に……)  そこまで考えて煌の腕の中でぽっと頰を赤らめる。 (恋人だって。おれ、煌さんの恋人になったんだよな)  ふわふわな気持ちになった。  この二日間でわかったことは煌は恋人にはすごく甘いってことだ。  相変わらず意地悪なことを言うしぞんざいな言葉遣いもする。  でも今までは事後はすぐ離れていったのに今はいつまでも抱きしめてくれる。最中は可愛いだの好きだなどとたくさん言葉をかけてくれる。お腹が空いてないか喉が渇いてないかと心配もしてくれ、風呂上がりには髪を乾かしたがったり、やたらと世話を焼きたがる。 (なにやっても王子様だなぁ)  ふふっと笑いが零れると、 「なに?」  覗きこんできた。 「なんでも。ただ幸せだなぁって」 「恥ずかしヤツ!」  そう言いながらぎゅっと抱きしめたきた。    結局実家に顔を見せたのは三日の夕方だった。 * *  正月休み明け四日からDouble Crownは始動した。  九月にデビュー曲。二月から四月まで一曲ずつ新曲を出していく。  その間も音楽番組、MV撮影、CMの話も舞いこんできて、とにかくハードスケジュールだった。  MVの撮影は三曲分をいっぺんに二週間を費やして撮影される。  今回のMV撮影は全曲、デビュー曲と同様SIUこと紺奈詩雨が行なう。  詩雨はカメラを構えながら思った。 (なんだ……なんかいろいろダダ漏れてるけど、これ平気なのか?)  デビュー曲の撮影の時とは二人の距離感や漂う空気がまるで違っていた。 「これは……なんていうか……ダダ漏れ?」  思わず口にしてしまったのが隣のマネージャー・羽加多の耳に入った。 「ですよね〜これ、ちょっと不味いかな」  顎に手を当てながら考える素振りをする。 「やっぱ、まずいんですか? オレ的には色気あっていいものになりそうなんですが。どうします? 構成とか変えてみます?」 「いや、これはこのまま続けて貰っていいです。ただ……」  その後は口にしなかったが羽加多の目が厳しく光ったような気がして、詩雨は背筋に冷たいものを感じた。 * *  デビュー曲を含めた四曲を世に送りだし、四月末をもってDouble Crownは解散した。デビューしてから七か月後のことだった。もともと最長でも二年ほどの期間限定ユニットだったが、だいぶ早い解散となった。  理由は世間には公表していない。  彼方と煌にはコンセプトに合わなくなってきたという社長の説明があり、彼方は「ああ」と思い当たる節があった。煌は相方に彼方が選ばれた理由も詳しいプロジェクト内容も何も知らされてなかったが、なんとなく察した。

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