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「ユエ……いや、結。今は俺のことは『(あお)』と呼んでくれないか? 俺の本名は上月蒼だ。今はBLACK ALICEのメンバーとしてではない俺を見てほしい」  ソウの声も身体もこの場の空気も一気に上がったような気がした。 「ソ……蒼?」  請われるままに慣れない名前を口にすると、ユエは自分までがじんわりと熱くなったような気がした。 「結は、俺のことどう思う? 男同士なんて気持ち悪い?」 「気持ち悪い……? そんなことは……でも……分からない……好き……って、友だちとか……そう、翼とかに感じてた『好き』とは違うよね……」  子どものうちから事務所に入り、その後は償いのために生きてきた。そんなユエが恋愛をしたことがあるとは思えなかった。 「違うよ」  ユエが誰かと恋愛してなかったことが、可哀そうだけどちょっと嬉しい。 (まぁ、考えてみれば俺もそうなんだけど) 「俺のは結のことが全部欲しい、の好きだ」 「全部欲しい、の好き?」  意味はよくわからなかったが、なんだか頭から全部食われそうなイメージが広がった。 「なんか、怖い。今頭から食べられちゃうような気がした」  それを聞いてソウはふっと笑った。 「そんな感じ」 「えっ」 (混乱してるみたいだな。知識としても何もないのか? その辺はホント子どもなんだな。いや、今時の子どものほうがもっといろいろ知ってるかも)  また愛おしさが込み上げてきて、ちゅっと唇を啄ばんだ。 「俺とキスするの嫌じゃない?」  三度もしておいて今さらながら訊いてみる。ユエは少し考える素振りをみせる。 「いや……じゃない」  その答えにほっとする。 「じゃあ、もうちょっと触らせて?」 「触る?」  あれこれ説明してしまったら逃げられそうなので、その問いには答えなかった。 「途中で嫌になったら、嫌だってはっきり言っていいから。それでも止まらなかったら、殴ってくれ」 「な、殴る? え、あ、うん」  これから何が起きるのか、まったく分かっていない様子で返事をした。  そんなユエの頬にそっと手を当て、唇に優しくキスをする。まるで初めてのキスのように。   離れては触れ、離れては触れる。  そうしているうちにユエの頬や身体がじんわりと熱を持ち始める。  唇が緩んだのを感じて、ソウはユエの唇を割り舌を口内に忍ばせた。その舌で歯や歯茎に触れ、そしてユエの舌に絡ませた。 「ん……」  ユエの喉元が鳴る。  嫌がっている声ではないと感じて、心臓がどくんと波打った。 (やばいな。これはほんとに止まれないヤツだ)  ドラマや映画でキスシーンを撮ったことはある。初めはキスの真似だけだったが、年齢が上がると本当にすることを要求された。  だけど、本気のキスは初めてだ。本当に好きな相手とのキスがこんなに昂るものだと思わなかった。  ユエは勿論こんなキスをしたことはないのだろう。また息もできずに苦しげにしていて、ソウは一旦口を離した。  彼の様子を窺う。嫌がっている顔ではないと思い、また口づける。  口づけながらソウはユエをベッドの上に倒した。そして、パジャマのボタンを下までゆっくりと外していく。  ソウは唇を離し、自らもルームウェアの上を脱いでタンクトップだけになる。  座った体勢でベッドに倒したのでユエの足だけが外に出たままだ。ソウは彼の足を抱えベッドに乗せた。そして、パジャマの上だけを取り除いて脇に寄せた。  BLACK ALICEの衣装は大抵きっちり首まで詰まっている。ほとんど素肌を露出していない。ユエはプライベートでもせいぜい鎖骨が見える程度の服を着ている。  タンクトップから覗く部分だけでも、その素肌は白く眩しく見えた。  ごくっとソウの喉が鳴る。  彼はゆっくりとユエに覆い被さっていく。  ユエはまったく抵抗することなく、されるがままだ。   

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