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「大成功だ! おめでとう!」
「サイコーの気分」
「イェーイ、盛り上がったね〜!」
「うっす」
「おれ、笑えてた?」
五人がパチンパチンと手を叩き合った。
五人とはBLACK ALICEのメンバー、ソウ・ユエ・ウイ・トワ、そして、マネージャーのハクト。
すべてをやり切り、サクラドームの楽屋で成功の喜びを分かち合っていた。
楽屋は四人別々に与えられていて、今はリーダーのソウの部屋に集まっていた。ソウ、ウイ、トワはまだ最後の白衣装のままだったが、ユエはドレスが暑すぎてソファの上に脱ぎ捨てた。タンクトップに短パンだ。
「ちゃんと笑えてたよ」
とユエの頭を撫でる。
「良かった」
ほっとしてにこっと笑う。
「サイコーの笑顔だったよ〜」
ウイも褒めたが「ありがと」と素っ気なく返された。
「はぁ〜相変わらずですなー、ユエさんは」
大袈裟に溜息を吐く。
「なにそれ、よくわからない」
「大成功おめでとう〜。そして、お疲れ様〜」
そこへ手を叩きながら入ってきた人物がいた。
「シウさん」
カメラマンのSHIUだ。
「シウさん、観に来てくれたんですか?」
わっとシウの周りに皆が集まってくる。
「もちろんだよ〜。オレもめちゃめちゃ熱くなっちゃったよ」
「イェー」
シウともパチンパチンと手を鳴らし合う。
「今回本当にシウさんにはお世話になりました。なんて、お礼を言っていいか」
「いいんだよ、礼なんて。仕事だし。それに、オレもけっこう楽しんだ」
「楽しんだっていえばっ」
と勢い込むウイ。
「最後のアレ! 予定と違うんじゃなかった? ねぇ、ソウ」
誰に対してもまったく敬語が出てこない。
「あ、そうですね。映像の最後ブチ切れてましたね。さすがに俺もびっくりしました」
本来あの映像は最後まで歌い終えて、ユエのアリスが微笑むところまで完成していたのだ。それをアップする段階で切られていた。
「スマホ壊れたかと思った」
ぼそっとユエ。
「や、それはないだろ」
とトワ。
「あ、ごめん。事後承諾だけど、あのほうが面白いし、期待度高まると思って」
「さっすが〜」
そんな軽いノリのウイに、ソウも同意する。
「ほんと、さすがです。あれで期待度だいぶ高まったと思います。それにアレはシウさんのアカウントですから、シウさんが自由にするのは当然だと思います」
「お褒めにあずかり光栄です」
シウは片手を胸に当て、仰々しく礼をした。それからユエを見て。
「ユエ、やっぱ、ステージでの笑顔のほうがサイコーだったよ。近くに行って撮りたいくらいだった」
両手の親指と人差し指で四角を作る。ファインダーのつもりのようだ。
「めちゃ綺麗だった」
「そんな、綺麗だなんて」
珍しくユエが照れる。
「シウさんこそいつも綺麗です」
珍しく人を褒めてるユエに、ウイが「おおーっ」と声を上げた。
「ほんと、カメラマンよりモデルやったほうがいいくらいだよ、とてももうすぐ、よ……」
「ん? 何?」
実はシウはもうすぐ四十路に手が届く。しかし、そうとは思えないほど若々しく美しい。
「や、なんでもないっす。それよりー」
自分がうっかり口を滑らせてしまったことはなかったことにした。
「これからみんなで打ち上げ行っちゃう? シウさんも一緒に!」
ライブや仕事の後、打ち上げ的なものは今まで一度もない。ウイもいつもは言い出さないのだが、さすがに今回は行ってもいいんじゃないかと思っている。
しかし。
「あ、悪い。この後急いでやらなきゃいけないことあるから。また今度誘ってくれ」
「じゃあ」とひらひら手を振ってシウは楽屋を出ていってしまった。
シウが行くと言えば、他のメンバーも断りづらいだろうと踏んでいたウイは、あー、これはきっと誰も行かないと、予想がついた。
「ごめん、ウイ。俺も……」
「ソウが行かないならおれも行かない」
「あ、俺も事務所戻らなきゃ」
予想通りの展開になる。
ちらっとトワのほうを見ると、
「行かねーよ」
冷たい一言が飛んできた。
「ですよねー。あ、じゃあ皆さん! お疲れ様でした! あ、ソウ次の予定決まったら連絡してね〜」
早々 諦め、部屋を出て行った。
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