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『………… 『白のアリス』もまたいつか現れる
その日を楽しみにしていてくれ
BLACK ALICE リーダー ソウ』
最後の文字を打って、ソウはスマホを置いた。
メンバーの誰が呟いてもいい、BLACK ALICEのSNSアカウントだ。だが、ライブの締め括りはやはりソウが行なっている。
「シウさんからメール」
その時開いていたパソコンにメールがきていたことに気づいた。
『今日は本当にお疲れ。データ送った。動画は零時に削除した』
『データありがとうございます。シウさんこそお疲れ様です。動画の削除ありがとうございます』
返信をし、パソコンのほうもシャットダウンした。
四月一日零時二十分。
すべての業務終了。
見計らったようにノックの音がする。
「どうぞ」
そう答えると、静かにドアが開 き、枕を持ったユエが入ってきた。
二人が触れ合った日から毎日といって良いほど、どちらかの部屋のベッドで一緒に眠っている。時々戯れにキスをしたり、本当に稀に触れ合ったりもするが、まだ一線は超えていない。
「蒼 、仕事終わった? もう寝る?」
そう言いながら勝手知ったるという感じで、ベッドに潜り込む。
「ああ、今日はもう終わりだ」
ソウも作業机から離れ、ユエの隣に潜り込んだ。
「お疲れ、蒼」
「結 もお疲れ様」
二人だけの時間では『蒼』『結』と呼ぶ約束はまだ成されている。最初は違和感もあったが、今ではもう慣れてしまった。
ベッドの中で向かい合いながら、ユエの白い頬に手を添えた。
「蒼……」
ユエのほうから軽く唇を重ねて、離れた。
(結はいったい。こういうことをする時どういう気持ちでいるんだろう)
ソウは大きな溜息を吐きたい気持ちになる。
(俺と同じではないよな……きっと。初めて見た相手を親と思い込むような、アレなんじゃないのか。初めて触れられた相手だから、懐いているだけ……みたいな?)
「蒼……」
ユエの手がソウの背に回り身体を擦り寄せてくる。
「結?」
ユエの態度がいつもと違うような気がした。
絡ませてきた足の間に熱を感じた。
「ライブの後でまだ興奮しているのか?」
大きな仕事を成し遂げた後にはそういうこともある。今までのユエにはなかったような気がしたが、余程今日のライブで熱くなったのだろう。
今度はソウのほうからちゅっと軽く口づけた。
「触ってやろうか?」
そう言うと何故かムッとした顔になる。そして、突然ソウの股間に触れてきた。
「……っ」
「蒼のも熱いよ」
いつになく積極的なユエにどぎまぎする。
「やっぱり、今日のライブが良すぎて興奮っぶっ」
バチンっと音がするほど両手で思い切り口を塞がれた。
「い゙だい゙よ゙ぉ゙、ユ゙エ゙〜。何怒ってんだー」
塞がれながらももごもご言っている。
「じゃあ、蒼のソレもライブで興奮したからなのっ?」
「う……っ」
絶句。
(なんだろう、今日のユエいつもと違う)
少しは人間らしくなったとはいえ、相変わらず口数が少ないユエが、これだけでも相当喋っているほうだ。しかも、口調もかなりはっきりしててトーンもいつもより高い。
「蒼、おれを壊すっていってたけど全然あの続きしないじゃん」
『あの続き』とは?
当然セックスのことだろう。まさか、ユエがそれを望んでいるとは思わず驚愕する。
(いや、でも、しかし……これも俺が好きだからってのとは違うかもしれない)
ソウは自分の口を塞いでいる手をそっと外し、ベッドの上に半身を起こした。ユエもそれに倣って起き上がる。
ユエの顔をじっと見て、コホンと一回わざとらしい咳払いをする。そして、彼の両肩に手を置いた。ひどく真面目くさった声音で。
「結、この間はああは言ったが、セックスはやっぱり愛し合う者同士がするものだと、俺は思う。気持ちのないセックスは、お互い傷つく……まぁ、最後までじゃなくても、キスしたりナニしたりしてた俺が言うなって感じだけどな。でも、それは――」
自分の気持ちを伝えるか躊躇していたら、目の前でユエが眦を釣り上げていた。
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