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映画『黒薔薇の微笑』初顔合わせ。
正面に新進気鋭の監督鎌田 時宗 。その左に脚本家宮市 花蓮 。左端に原作者桜乃華が場違いだな、みたいな顔でちょこんと座っている。
監督の右側に助監督の北海 美智也 。カメラマンの英 マリア。右端にもう一人のカメラマンのSHIU 。こちらはパンフレット、ポスター。それから、ストーリー内で使用されるMV部分の撮影担当。
比較的若手や女性が多いのは原作がBLジャンルだからということだろうか。ちなみに映画のジャンルは一応ホラーとなっている。
役者陣紹介。
これまではまだ主演たちにも明かされていなかった。
ソウの従兄妹アリス役。子役の時から演技力を称えられている女優、白鷺 涙 。館に舞い込んでくる双子には、SAKUプロの姉妹事務所桜ノ森シスターズ、通称SAKU・SIS(サクシス)のユニット『ツインスター』の朝顔 と向日葵 。正真正銘の双子の姉妹。
実際のBLACK ALICEにはいない五人目のメンバー、ドラム担当のヒビキ。無限からの移籍ということになっている。
「始まる前から死んでるヒビキです。光栄な役をありがとうございます」
そう明るく挨拶して、場の笑いを取る。
ちなみに実際にドラムを担当しているソウは映画ではギターということになっている。彼はドラム、ギター、ベース、ピアノとなんでもこなせるオールマイティな男なのだ。
そして、ヒビキの隣にいるのがハクト。
「マネージャー・ハクト役の白兎 拓海 です」
ハクトが立ち上がって会釈をするとメンバー全員から「えっ」という声が漏れた。全員がハクトを驚きの表情で凝視する。
一拍おいて、
「ハクトさんも出るんだ〜」
そう言ったのはウイ。
「マネージャーだからいるのかと思った……」
ユエが静かに発言する。
「あ、俺も」
珍しくソウとトワの声が重なる。
「なるべくそのままのメンバー使いたいって鎌田監督が。ま、ちょっとしかセリフないんで」
鼻の頭を掻きながら照れたように答えた。
「ソウ役のソウです。よろしくお願いします」
「ユエ役のユエ……紹介するまでもなくない?」
名前はそのままだし、BLACK ALICEも有名人で顔も知っているだろうという心の声をそのまま出してしまった。
「まあ、そう言わず。ウイ役のウイです。演技は初めてなので、地でいきまーす」
「……」
隣でトワが黙り込んでいるので、ウイが脇腹を肘でつつく。
「トワたん、なんとか言えよ」
「トワっす」
ウイがあちゃーというような顔をする。
役者も若い者と身内が多いので、無作法にも寛容だった。
顔合わせは始終和やかに行われたが、ただ一人原作者だけが「申し訳ない」というように、ずっと顔を伏せていた。
紹介の後監督から様々話があったが最後に。
「撮影はひと月後から。まずは一か月間のロケを行います。それまでそれぞれ台本を読み込んでおいてください。皆さん! よい映画を作りましょう!」
そう纏めて解散した。
桜ノ森スターズビルに帰る車の中で、ウイはパラパラと台本を繰っていた。そして、パタンと閉じる。
「ねぇ、これ。オレ、どうやら素顔を晒さなきゃいけないらしいんだけど!」
原作を読んだ時にも気になっていたのだが。その部分を確認すると、どうやら原作通りになるらしいのが分かった。
「ふぅん」
ユエが気のない感じで鼻を鳴らす。
「や、ユエちん。自分かんけーないみたいな顔してますけど! あんたらもみんなそうだからね!」
全員を順番に指差していく。
「オレたちって確か、素顔明かさないってコンセプトだったよな? ハクトさん」
運転をしているハクトに向かって言う。
しかし彼は「だな」と答えて「はは」と軽く笑うのみ。
「ね! ソウくん、そうだよね!」
そもそもBLACK ALICEはソウのプロデュースだったことを思い出す。
「あー」
下がり気味の語尾。
「社長、そろそろコンセプト変える気にでもなったかなー」
聞き捨てならない言葉を放った。
「え……」
メンバー一 化粧の濃いウイだけが絶句した。
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