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しかしトワは無言のまま行為を続ける。
再び首筋からやや荒々しく口づけていく。たぶん原作の中の『トワ』もそんな感じ。いや、原作はもっと乱暴かもしれない。そういうシーンだ。
トワはタンクトップの裾に手をかけて素早く捲り上げる。露わになった片側の乳首を含んだ。
「う……っ」
(おまえっなんつーことをっっ。んなっ躊躇いもなくっ)
ウイは一瞬固まった。かーっと顔が熱くなるが、
「だから、そこまでしなくってもいいんだって!」
声を荒げてトワの身体を押しのけようとする。
しかし力はトワのほうが当然強い。両手首を取られ、両脇に押しつけられる。
「うるせー口だな。少しは静かにできねーの?」
眉間に皺を寄せた顔が見えたかと思うと、唇を塞がれた。さっきの重ね合わせただけとは違う。奪うように、最初から激しいキスだ。
角度を変えて何度も吸い上げてくる。割れ目をこじ開けて口腔内に入りこんでくるまでに、そう時間もかからなかった。
相手がメンバーだとか、男だとか、そういう躊躇いがいっさいみられない。
舌で口腔内を弄られているうちに、ジタバタしていたウイの身体もおとなしくなり、目がとろんとしてくる。
(気持ちいい……トワ……キスうまい……)
ぼんやりとそんなことを考えていたが、それだけではないだろう。何年も好きだった男が相手だから。
トワはしばらくウイの内部を堪能してから、唇を離した。上からウイの顔を見ている。ウイもそれに気づいた。
「……なんで……オレ、ユエの代わりはやだ……」
原作のシチュエーションと重なって、涙が込み上げてくる。
物語の中の『ウイ』とは違う。本物のウイは、誰かの代わりもセフレも一度だけの関係もごめんだった。あれは死を覚悟した人間にしかできない。自分がもうすぐ死ぬことが確実に分かっていれば、もしかしたら同じ行動を取るかもしれない。
でも実際はそうではないのだ。
「ユエの代わりになんかしない。ユエにこんなことしたいと思ったことはない」
前にも聞いたことがある言葉だ。
トワはユエを、いや、来栖結を崇拝していてる。性的対象ではないのだ。
「じゃ……なんで……」
もう一度、弱々しく問う。
「なんで……?」
オウム返しに言い、軽く首を傾げる。自分でもどこからきている衝動なのか分からないのかもしれない。
「あんたが……綺麗だから? 顔もこの肌も」
じっと目を覗き込まれてそんなことを言われれば、心臓がどきどき煩くなってもしかたがない。やや疑問系なところには気づかないフリをしたが、
「男とはまったく経験ないけど、あんたくらい綺麗だったら……イケる気がする」
あとのクズい言葉は聞こえないことにはできない。
「なんじゃそりゃー、できりゃーなんでもいいんかーいっっ?!」
覚醒してぶん殴ろうとしたが、太腿辺りに異物を感じて怯んだ。
熱くて、硬い、『何か』。
「トワ……おまえ」
ごくっと喉を鳴らした。
自分でそうなっているのか? それともこの状況か。ウイは測りかねた。
「あんたも、だろ?」
嘲るような笑みが滲む。
「くそっ!」
ウイの中で何かがキレた音がして、自分からトワにしがみついて口づけた。
それをきっかけにトワもまた動きだす。
今度こそタンクトップは脱がして、飛ばした。その途中、一瞬だけトワの動きが止まった。何かが彼の指に引っ掛かったのだ。
それはシルバーの細いチェーンで、ペンダントトップがついている。
トワの脳裏を何かが駆け抜けたような気がしたが、掴むことはできなかった。
「小道具か?」
ストーリーの中で、過去にトワはウイにネックレスを渡したことになっている。そのことを言っているのだろう。
「違う……これはオレの私物」
荒い息を吐きながら答え、大事そうに指先で覆った。
「ふうん」
なんとなくもやっとしたが、トワは頭の中から追い出した。
二人とも上半身は裸のまま。
トワはウイの見えている素肌をすべて、隈無く唇を這わし、舌であじわう。ウイの肌は汗と唾液で光っている。ウイは喘ぎながら、掌でトワの身体を撫で回し、時折ぎゅっと抱きしめる。
薄い布越しに感じるお互いの熱を求めるように、腰を動かして擦り合わせていた。
もう布は湿ってきている。
トワはとうとう、ウイのルームウェアのパンツに手をかけた。
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