…… ……… ………そうして 1人が地面に仰向け倒れると碧はそいつに馬乗りになって殴る。 何度も何度も。 そのうち相手は気を失ったようだった。だけど、碧はかまわずにいつまでも殴り続ける。 拳は碧のものか、それとも相手のものか分からない血が赤く滲んでいた。そうなっていても碧は止まらない。 ……怒っている様でもなく無表情でひたすら殴り続けていた。 碧の瞳に狂気めいたものが見えるようだった。 残る2人は、何も出来なくて腰を抜かしていた、ぺたんと座り込んでまるで恐ろしいものをみるかのように碧をただ見ている。 ……するとその時。 黒塗りの車が碧とそいつらの側に止まり男が車から降りた。 「お前ら何やってる？」 強面の見るからにやばそうな男だった。 「おい、そこのガキ、もう止めろ。そいつ死ぬぞ」 碧はそう言われてやっと止まる。 「……何？」 そう言いながら、男を仰ぎ見る。 そこで、馬乗りになっているやつから離れて立ち上がった。 碧が離れて殴られ続けやつはやっと解放された。 「なんで止める？」 碧が男を睨んだ。 その隙に他の2人が倒れているやつを引きずって急いで逃げ去る。 （あの3人はもう二度と碧を襲うなんてマネしないだろうな……。だけど、碧の彼の狂気じみたアレは何だ？） 3人の後ろ姿を見ながら竜士は思った。 .