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Presentiment /予感 #6
「お前、大丈夫か?」
強面の男がぼんやりと立ち尽くしていた碧に話し掛ける。だけどその声が聞こえないような様子で
「……ああ、逃げちゃった。あいつら。もっと殴っとけばよかった」
独り言のように言う。碧のその髪が乱れた姿はやたら艶っぽくて迫力もあった。そして、男に構わず、その場から立ち去ろうとした。
だけど、再び男が碧を呼び止めた。
「まて、お前。今までも、こんなことがあったのか?」
碧は今度はしっかりと男を見る。
「……どうだったか?…まあ、あんたには関係ないよね?」
そう答えて男の返事を待たずに、今度こそ呼び止められないように急いで立ち去って行った。
………
「いいんですか?これで?」
男が後ろで見ているであろう竜士へ言った。
「……ありがとう美山。俺が止めるより強面の美山が止めたほうがいいもんな」
竜士はそう言って笑った。
「強面?…というのは。しかし、あの碧という子は…あの子はとても危険ですね」
「……そう思う。だけど、どうしたらいいか」
碧は俺とは全く接点もない。実際会ったのはたったの一回、図書館で偶然出会ったあの時のみ。
だけど、気になる。竜士はこの思いが何処からくるのか分からなかった。
「竜士さん、久しぶりにお父様にお会いになられますか?いつも心配されておりますよ」
「いや、いい。止めておく」
「では…お送りいたします」
黒塗りの車は竜士を乗せ、碧が歩いていった方向と反対の方向へと走る。
いつの間にか空には雲が広がっていて、車の窓に雨粒があたる。
碧は傘を持っているだろうか?と竜士は思う。
それから、竜士は碧の事が忘れられなくなった
…………
……
…
再びの出会いは……。
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