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邂逅 #1

…… ………… まだ陽射しが柔らかく穏やかな外にいても気持ちいいぐらいな季節の日 ……今日の空は深く高いな そうぼんやりと思いながら空を眺めている学生がいた。 このままどこかに行こうかな? 河川敷の土手の芝に寝転んでそんな事を考えていた。その学生は碧だった。 碧は竜士に強烈な印象を残した後、以来彼と関わることもなく、今は高校2年となっていた。 学校はこの土手の近所にあったが、今は平日で時間は10時近く。学校はもちろん休みではなく、碧は学校へ行く様子も見せない。 碧が寝転んでぼんやりと空を見ていると、それを遮る影があった。逆光でよく顔は見えなく、だけど背が高い男の様に見えた。 「なんだ生きてるのか?」 その男がいきなりそんなことを言って来た。 背は高くて幅もある。筋肉質という感じだ。色黒で今流行りな髪型で茶髪の……男。 「何か用?寝ていて悪い?」 (俺と同じぐらいの高校生?なんかの俳優に似てるかも?芸能人とかはあんまり知らんからそんな感じ?) 碧は面倒くさそうにゆっくりと起きあがり男をじっと見てそんなことを思う。 「いや、悪くないけど…お前、学校サボり?」 「そうだけど?」 「いや、いい度胸してると思ってさ、その制服、この先の牟良野(むらの)高校の制服だろ?」 「それが?あんたには関係ないよね?」 「ごめん、お前の事は前から知っていたから。つい声を掛けてみたんだ。俺、竜士って言うんだ。相沢 竜士(あいざわ りゅうじ)だ。お前、碧だろ?。俺お前に前会った事あるんだよ。一度だけ」 「そう?俺は知らないけどね?」 「……まあ、そうだろうね」 そう言いながら竜士は碧をじろじろと見る。 「しかし、綺麗な顔してるなあ、女みたいだ。ハーフだよな?」 碧の事を「知っている」と、声を掛けられるのはよくある。自分が目立つ容姿をしているというのは自覚がある。それは、いやになるほどだ。 だから、またか…。というように碧はため息をつく。

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