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邂逅 #3

呆れた碧は竜士を睨んでそのままそこから立ち去ろうとした。だけど、あわてて竜士が呼び止めた。 「いや、悪い。っていうか俺、その牟良野高校へ転入する日なんだ今日。…はずだったんだけど……遅刻だし。迷ったって事で、案内頼みたいんだ」 「……ふ~ん?なんか変なやつだね。遅刻って初日なのに?ほんとに転入生?」 「…本当だよ」 そう言われた碧は何か言い返そうとしたけれども、土手の上から声がして思わずそっちを見てしまった。 「瑞江くん?そこにいるの瑞江くんでしょ?!」 土手上の道で鞄を手にもったまま、両手をぶんぶん振り回している中年の女性がいた。 「山田だ…」 碧は少し、面倒くさそうな顔をしながらその山田という女性を見ながら呟いた。視線がその山田へと意識が逸れたその瞬間………。 竜士が碧の手をそっと掴んで引き寄せた。 「……え…?なに?」 慌てる碧。前のめりに竜士に向かって倒れこむ。 竜士は碧より頭一つぶん大きかった。驚いて見上げる碧の顔。 その整った綺麗な顔に似つかわしくない傷が瞼の上と頬にあった。 「綺麗でしかも…」 竜士はそう囁き、碧に軽く触れるようなキスをした。 それは一瞬の出来事だった。 「…何……な」 だけど、碧はすぐにその手を払いのけ竜士の首の真正面、喉元の首筋あたりをぐっと掴む。 「俺を馬鹿にしてる?」 碧の力は強く。竜士は声が出なくなった。 ううぅ… 口から出るのは呻き声のみ。 竜士はその掌を引き離そうとしたが、びくともしなかった。 「ねぇ、このままだと息が止まるかもよ?」 冷めた目をして碧は力をさらに込める。 その時。 .

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