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#4
「今の時間なんでこんなとこにいるの?学校は?」
碧が「山田」と言った女性が土手の上から小走りしてやってくる。
「また喧嘩??まったく、あなたは。怪我してないでしょうね?学校に行くならいっしょにいきましょう?」
その言葉使いによってその山田は学校の先生か何かだろうと思われた。彼女は碧よりもさらに小柄だったけれども横幅はその倍もあるのでまんまるな印象だった。
「喧嘩はしていないよ」
山田が近づいてきたので碧はさっと手を放して、まるで言い訳めいたように呟く。
行き成り掴まれた首元を放され、竜士は急に息が出来た事で咳込んでしまう。
「あら、大丈夫?あなたは?」
ゴホゴホと咳込む竜士を見て山田は心配そうに言った。
「まさか今流行している風邪?気を付けて?」
竜士はすかさず山田ににっこりと笑いかける。そういう風に笑っているととても爽やかな青年に見えた。
「大丈夫です。少し咳込んだだけですから。それより、牟良野高校の先生ですか?俺、転校生の相沢 竜士っていいます。迷っちゃって、ちょうど通りかかったこの瑞江くんに付き添って高校まで案内してもらっていたとこなんです」
「先生じゃなくて、私はただの保健の先生……養護教諭なんだけどね。この、瑞江くんは可愛いくせに、喧嘩っぱやくて。何度も怪我したのよ?この可愛い顔にも傷つけちゃって」
そんな竜士の笑顔に騙されたような山田が、にこにこ顔で2人に向かって言う。
「とりあえず、いっしょに学校へ行きましょう?」
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次回更新は、来週末深夜すぎ予定です。
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