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邂逅 #6

碧はかまわず、自分の教室へ向かった。竜士を置いてそのままにしたけれども、山田に言われてきっと職員室にでも行っているだろうと思った。 (あいつ、ものすごくむかつく) 妙に馴れ馴れしいのもかなり気に触っていた。 そのまま、教室へ後ろのドアを開ける。。 「あ、瑞江くん……来たんだね」 授業をしていた教師はただそう言っただけだった。碧は、何も言わずに自分の座席に座る。 碧の席は窓際の席だった。 席に着くなり授業も聞かずに、窓の外をただただ眺めて時間が過ぎるのをじっと待っていた。 そして、終わりのチャイムがやっと鳴ると皆がめいめいに散っていった。碧はそんなクラスメイトを見ながら、 「…つまんない……やっぱり、あそこで寝てたほうがよかった…」 忌々し気に小さく呟く。 ………… 暫くして、何時の間にか次の授業が始まった。 「みんなちゃんと席について下さい」 クラス担任が入って来て、何か授業の始まりと違う事を言いだした。 「ちょっと遅れてきましたけど、転入生の紹介をします」 クラス担任に付き従って入って来たのは、 「こんにちは相沢竜士と言います。ちょっと迷って遅くなりました。すみません。ここわかりづらくて」 あの竜士だった。碧を見つけて手を降っている。 「よっ!碧ちゃんーまた会ったね」 (…あいつ、ここに来た) 碧は竜士を見て嫌そうな顔をした。座席は碧の前の席だった。 (よりにもよって……俺の目の前って……) 「また、よろしくな」 機嫌よく話し掛ける竜士だったが、 「気安く呼ぶな」 碧は冷たく言い返した。 .

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