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邂逅 #9
山田がすぐさま出て行くと、竜士は保健室のベッドのほうへ行ってカーテンを静かに開けて見る。そこには、青白い顔色の碧が寝ていた。
顔色が青白いぶんますます唇が赤く見え、陶器の人形 のようだった。
(……ホントにすっごい綺麗。美麗っていうの?)
竜士はそんな事を考えながら見とれていると、
「…ん…」
碧は目を覚ました。
「目、覚めた??」
そう言われて暫くぼんやりとしていた様子だった。……が、暫くして竜士がいることがわかってさっと顔を険しくした。
「……相沢…?」
「竜士でいいよ。碧ちゃん」
「何でいるんだよ?」
「……碧ちゃんが、あんまり綺麗だったから、見とれてたんだよ」
「……はぁ?お前、ヘンタイ?キモいからあんまり見るな」
碧はそう言いながら、起き上がろうとした。だけど、その瞬間、右肩に激痛が走る。
「……って」
思わず右肩を抑えて突っ伏す。
「どうした?」
心配して竜士が声を掛ける。
「大丈夫だ」
碧は痛みも構わずにそのまま起き上がった。
すると、
掛け布団が剥がれ碧の上半身があらわれる。
「……あ」
それを見て竜士が思わず揶揄するように口笛を吹いた。
「碧ちゃんって細いかと思ったら筋肉付いてるとこは付いてるね……?」
竜士のその物言いに、碧は自分が先程、包帯を巻き直してもらってそのまま寝てしまったから、半裸だったことに気が付いた。
「お前さ、本当、ヘンタイだな」
「いや、思ったことをそのままいっただけだよ?細いと思ったら違うってすごいってっさ」
「バカな筋肉野郎と違ってムキムキになる必要なんてない」
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