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邂逅 #10
からかう竜士にかまわず碧はベッドから降りようと床に足を下す。しかし、足に力が入らずふらついてしまった。
「…うおっと。大丈夫か?」
竜士は咄嗟に抱き留めた。
「熱っぽいな。怪我のせいか?」
碧は暫く、そのままの姿勢で浅く息を吐く。
「…そう…かも」
その様子はとても辛そうだった。
「おい。おい。無理して起きなくても良いのに、っていうか、このまんまでいいの?俺はいいけどさ?」
そう、竜士はふらついて倒れそうになった碧を抱き留めたままの状態。というか抱きしめていた。
「…お前が離せばいいこと」
「そんな。もったいない」
「あ?」
碧は竜士の腕を払いのける。
「……お前が俺を起こしたからじゃないか……」
「でも、わざわざ起き上がらなくても?」
「 寝てたら何されるかわかったもんじゃないから」
「……まあ、キスぐらいはするかも?」
「それがいやなんじゃないか」
「んー。へるものじゃないし?」
じっと睨み返す碧の瞳は熱っぽいせいか、少し潤みがかっていた。
「たまんないな…碧ちゃんそんなに色っぽいんだもんな。やっぱりキスしよう?」
碧は避けようとしてバランスをくずししそのまま、2人ベッドに倒れこむ形になった。
竜士は碧に覆いかぶさっていたのをいいことに、すっとキスをしてその碧の口を塞ぐ。
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