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邂逅 #11
「今日会ったばかりなのになんでいきなり」
「碧ちゃんが綺麗だから。綺麗なものは愛でる…これは自然な事だろ…?」
「……は?意味わかんね」
そう言って碧はぐいぐいと竜士を押し退け避けるように身体を捻る。
だけど、
「碧ちゃん、ちょっと、このまま抱きしめていたいし、襲っちゃおうかな?」
そんなことを言い出す。
「おい、ヤメロっ」
「大丈夫。何もしないよ。怪我してるヤツを無理やりなんて趣味じゃないしな」
竜士はパッと両手を碧から離してそのまま、ベッドから飛び退いた。
「…本当言うと…チャンスなんだけどなあ……まあ、ね。今日はやんない」
「どういう意味だ?」
「そのまんまの意味。熱あるね…寝てな。…でも、こんな碧ちゃんを一人で置いてけないよな。俺じゃなくても、襲っちゃいそう」
「それを、お前が言う?お前が一番ヘンタイで危ない輩じゃないか?」
碧は竜士を冷ややかに見ながら言い放つ。
「いや……それを言われると……」
竜士が焦ったように言い訳を何か言おうとしたけれども、
「でも大丈夫。俺を襲うやつはこの学校にはいないよ」
碧は、それに重ねるように強く吐き捨てた。そして、
「今までそういう事をしたやつらは、コろす」
そんな物騒な事を当たり前のように言う。
「え?」
竜士は驚いて聞き返した。
中学の頃、見た光景を思い出す。それは、
――無心に上級生を殴っていた碧――
「碧ちゃん。怖いんだけど……」
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