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はじまり #2
………
…
しかし、碧は、呼び出しには応じずに無視して帰ろうとしていた。
それは、碧にとってのいつものことで、
碧に対して付き合ってくれや、好きだなど言う輩と同じと。
そう思って、そのままいつもの通り、応じず相手にしなかっただけだった。
宮田は校門で自分の手下と揉めている碧を見つける。
「おい、瑞江。お前さ、放課後来いって伝えたはずだろう?」
宮田は体が大きくがっしりしてごつい容姿だ。そんなやつが威圧的に物言えば誰しも怯む。だけど、碧は、少しも怯まず驚かない。
「…誰?」
宮田を睨み返しながら表情も変えずにそう答えた。
「お前、小林から話は行っているはずだろう?!」
宮田は自分の配下の小林が、碧と同じクラスだったので、そいつから、碧に呼び出しをかけたはずだと言っているのだった。
碧は一瞬考える。
「ああ…?そうだったっけ?俺、興味ないから」
そのまま、宮田の脇を通って帰ろうとした。
(こいつ俺を、そのへんの碧をかまう雑魚だと思っているのか?)
宮田は自分に全く興味をしめさず、無視した事にものすごく腹が立った。カッとなりながら、碧の手を掴む。
「オマエ、俺を怒らすとどうなるか分かってるのか?」
だけど、碧は無言でその手を振り払った。
「てめぇ…」
宮田は碧に飛び掛かろうと拳を振り上げるが、しかし、碧はすっと、避ける。と、宮田の拳は空を切って身体がよろける。
「オマエ!」
怒った宮田は、もう一度、碧に飛びかかろうとした。
………その瞬間、宮田の腹に激痛が走る。さらに、顔面ともう一度腹に激痛。
碧の拳が突き入れられていた。その動作は素早く。
宮田に考える間も与えずに、その脚へ蹴りが入る。
脚の激痛に耐えられず宮田はひっくり返る。
暫く宮田は動けなかったが、すぐさま起き上がり、拳を再び碧に振り上げる。
しかし、その拳の手に痺れるような痛みが走る。
「……ってーーーーー!!」
宮田が痛みが走る自分の腕をみれば、振り上げた腕をぐいっと捩じりあげて掴んでいる碧がいた。
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