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そして、今 #6
……
…………
診察を終えて診療室から出て待合室へ行くと、竜士がいた。碧は「竜士と歩いて帰るから」と言ったことを思い出した。その場しのぎ的に言ってしまったことを後悔した。
無言で連れだって歩く。
「碧ちゃん、何か話そうよ?」
竜士は何かと碧に話しかけたが
「話す事なんてない」
「つれないねえ?」
そうして、碧は何か思い出したように、急に立ち止まって、竜士を振り返る。
「そういえば、後で話すって言ってたよな?」
「……え?何?」
「宮田の事だ」
竜士はじっと碧を見つめる。
「そうだな。言わないと」
しっかりと向き直って
「その肩の怪我って、昨日、暴漢にあったんじゃないか?」
そう、竜士は聞いた。
「そうだけど、なんで知ってるんだ?」
碧も聞き返したが竜士は答えずにさらに続ける。
「何かおかしい感じしなかったか?」
「……?」
………碧は昨日の事を思い出した。
昨日は、突然いきなり、喧嘩を吹っ掛けられた。碧は時々絡まれるようなこともあったけれども、何かとても様子が変な感じだった。
相手は碧と同じぐらいな学生だった。もちろん絡まれたぐらいでは怯まない碧だったが、その時、いきなり肩にぴりっと痛みがきて、刺されたみたいだった。しかし、刺された、というよりも何かで、なぐられたような感覚だった。
でも、ざっくり肩が割れたような傷ができていた。
何でやられた?か分からない。
その時初めて相手がその学生1人ではなく数人のあまりガラの良くないあきらかに学生ではない風体の輩が数人いることが分かった。
もちろんそんな輩連中にだって怯まない碧だったから大丈夫だったのだが。
「……たしかに、何だか、普通の学生じゃない輩だった」
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