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Confinement #8 ※
竜士はすぐに碧をそっと抱き締めた。
「ごめん、碧ちゃん、守るって言ったのに守れなかったね」
碧の顔をじっと見つめる竜士だったが、碧には何の反応もなかった。
「碧ちゃん?」
碧の瞳には悲しそうな竜士の顔が映っている。
だけど、碧の中はただ、ぼんやりとして心には何も映ってはいない。
竜士の顔を手の平で触り、何も言わずただ竜士を見つめる。
碧は、何処が現実で何処が違うか。良く分からなくなっていた。
頭の中に浮かんでは消えフラッシュバックする過去の情景。
竜士の腕をそっと触る。
それは、碧がこの手で触っている竜士の腕だけは『現実』であると確認するように。
「俺を、俺をこの現実に引き止めて。記憶の渦に飲み込まれる」
……助けて・・・。
それは碧の声にならない声。
…………
………
……
碧の頭の中にひろがるのは、聞こえるはずのない音、声、そして観えるはずのない景色。
碧に聞こえてきたのは、誰かの悲鳴だった。
あれは?
祖母の悲鳴・・・・?
パッと広がる情景が急に碧の目に映り過去が蘇る。
あれは。
祖母が外出から帰ってそれで見たんだ。
俺と・・デイヴ・・・
の
『何をしているの!』
祖母は、手にしていた杖で、デイヴの背中を叩いた。
『やめなさい!!!アオイから離れて!!ここから出ていけ!!』
…………
祖母はデイヴを叩き出して、碧の姿を見て泣き出す。そして、
『……あなたは悪くない。アオイ。あなたにこんな事をしたディヴィッドが神に罰を受けるわ』
そう言いながら、肩からシーツを掛け、ぎゅっと抱きしめ、頭と背中をやさしく撫でる。
『こんな酷い事!!これは強姦よ!!許さない!!』
その時の自分は……
碧はまるでそれが今の出来事のように見える。
俺の身体はどうなってる?手は、手首は縛られて擦れて、青くあざになって血も出ていた。
それから、デイヴが付けた身体中の印のようなキスの跡も痛い。
……身体中が痛い。
何度も貫かれた俺の後ろから、真っ二つに身体が裂けるように……痛い。
きっと俺の身体はその時二つに裂けていたんだ。
これは、過去の記憶。
……俺は、強姦されたんだ。
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