43 / 49

Confinement #8 ※

竜士はすぐに碧をそっと抱き締めた。 「ごめん、碧ちゃん、守るって言ったのに守れなかったね」 碧の顔をじっと見つめる竜士だったが、碧には何の反応もなかった。 「碧ちゃん?」 碧の瞳には悲しそうな竜士の顔が映っている。 だけど、碧の中はただ、ぼんやりとして心には何も映ってはいない。 竜士の顔を手の平で触り、何も言わずただ竜士を見つめる。 碧は、何処が現実で何処が違うか。良く分からなくなっていた。 頭の中に浮かんでは消えフラッシュバックする過去の情景。 竜士の腕をそっと触る。 それは、碧がこの手で触っている竜士の腕だけは『現実』であると確認するように。 「俺を、俺をこの現実に引き止めて。記憶の渦に飲み込まれる」 ……助けて・・・。 それは碧の声にならない声。 ………… ……… …… 碧の頭の中にひろがるのは、聞こえるはずのない音、声、そして観えるはずのない景色。 碧に聞こえてきたのは、誰かの悲鳴だった。 あれは? 祖母の悲鳴・・・・? パッと広がる情景が急に碧の目に映り過去が蘇る。 あれは。 祖母が外出から帰ってそれで見たんだ。 俺と・・デイヴ・・・ の 『何をしているの!』 祖母は、手にしていた杖で、デイヴの背中を叩いた。 『やめなさい!!!アオイから離れて!!ここから出ていけ!!』 ………… 祖母はデイヴを叩き出して、碧の姿を見て泣き出す。そして、 『……あなたは悪くない。アオイ。あなたにこんな事をしたディヴィッドが神に罰を受けるわ』 そう言いながら、肩からシーツを掛け、ぎゅっと抱きしめ、頭と背中をやさしく撫でる。 『こんな酷い事!!これは強姦よ!!許さない!!』 その時の自分は…… 碧はまるでそれが今の出来事のように見える。 俺の身体はどうなってる?手は、手首は縛られて擦れて、青くあざになって血も出ていた。 それから、デイヴが付けた身体中の印のようなキスの跡も痛い。 ……身体中が痛い。 何度も貫かれた俺の後ろから、真っ二つに身体が裂けるように……痛い。 きっと俺の身体はその時二つに裂けていたんだ。 これは、過去の記憶。 ……俺は、強姦されたんだ。 .

ともだちにシェアしよう!