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Confinement #11
「碧ちゃん……?」
竜士が驚いたように聞き返す。
碧の白い肌の色はさらに白く、そして、唇は今、少し赤味が少なくなってはいたが、肌の白みに映えていた。辛そうな表情はきっと碧の意図したものではないと思うがとても艶っぽく見える。
でも、今の碧を無理に組み敷くなんてことは竜士には
"……できない"
そう思った。
………
………
「俺は壊れてるんだ。頭の中で自分の記憶の幻影が見える。消えてしまったと思っていた記憶の欠片。ソレが止まない。それが現実 に見えている。今がどこにいるのか過去なのか今なのか、わからなくなる。俺は、このまま、心が過去に行ったきり戻ってこれなくなりそうで怖い」
碧の茶色い瞳が動き、また空を見始める。
"止めて"
小さく囁く。
「碧ちゃん。過去の事はもう終わった事なんだよ。だから。……だから過去の自分に捕らわれるな。今は今。これからなんだ」
竜士は碧にそっと額にキスをした。
(これ……)
柔らかくて、優しいキス。
碧は母がいつも額にしてくれた優しいキスを思い出した。
(だけど、……母さんの事故の事は思い出せない)
たしかに碧の傍で起こった事。だけどそれだけはどうしても思い出せないでいた。
「このままでいるよ。このままずっといるから」
そう言いながら竜士は碧を抱きしめる。
「……ありがとう」
碧は小さく言ってそのまま目を瞑る。
……
……
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