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昔日 #1

…… ………… …… … きれいに澄んだ空、眩しいばかりに輝く白い雲 そして、心地よい風。 木々の葉は柔らかい緑の色をその光に反射させて柔らかな日差しを投げかけている。 「彼」はその木陰のベンチに腰掛け転た寝をしていた。 柔らかそうな髪は少し茶がかっていて風にそよいでいる。 男というより女のような、優しい面差しで、華奢な身体つきがますます「彼」をより中性的に見せていた。 「おい、そんな所に寝てるなよ」 誰かが「彼」に声を掛ける。その「彼」が綺麗に澄んだ黒い瞳を見開く。 「なんだ、龍介か」 「なんだは、ないだろう?光紀?」 「彼」の名前は光紀(コウキ)。そして、龍介と呼ばれている男は、光紀と同じぐらいの年格好だった。 ただ違うのは龍介は光紀よりもかなりがっしりしている。 華奢な光紀と並ぶとその体躯の差がかなり目立つ。 「だって、急に起こすから」 「俺はさ、光紀がそんなとこで寝ちゃ風邪をひいてはいけないと思って心配したのに」 「それは、どうも。でも、ここで寝ちゃったのも、龍介が遅いからなんだけど?」 ジロっと睨む光紀を見て少し顔を引きつらせる龍介だった。 「それは…あれだ」 龍介はあはは…と笑ってごまかす。 「…ま、いいけどさ、遅いのはいつものことだから」 .

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