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昔日 #2
光紀と、龍介は同じ大学に通っている。
2人の出会いは、光紀が誰とも仲間にならずいつも1人でいたのを、不思議に思った龍介が興味を持って声を掛けたのがはじまりだった。
光紀は華奢な容姿で物腰も穏やかで優雅だった。
龍介が話してみればにこやかに返す。どこも変なところもなく彼ならばきっとすぐにでも仲のよい友人ができるに違いないと思ったが、何故そんな彼がいつも1人でいるのか。
龍介はそれが不思議だった。
だけど、それはすぐにわかった。
彼には何処か人とは混ざらない、他人に対しては一線を引いているように接していた。それが人を寄せ付けない理由となっていた。
…………
…………
光紀は有名な某財閥企業の経営者を祖父に持っており、かなり裕福に育っていた。いつも他の誰かが傍にいて、光紀の素性を知っているものばかりで周囲を固められている、そんな状態が高校時代まで続いていた。
だから、大学は自分の素性を知らないような者が多くいる場所を選んだ。
それは、光紀にとってはとても新鮮でとても楽しかったのだが、今まで、自分を知らない他人がいるところへ殆ど行ったこともなく、他の皆とどう接していいかわからなかった。
そんなこともあって、光紀はずっと1人でいることが多くなってしまったのだった。
光紀はその会社を大学を卒業後、継ぐ事になっていた。本来なら彼がすぐさま継ぐべき後継者というわけでは無かった。
しかし、後継者にあたる光紀の父は早くに亡くなり、他の父の姉、光紀の伯母は他へ嫁いでいて、一族の嫡子で適任の年齢の者は光紀以外にはいなかったからだ。
今の時代、一族経営で成り立つ企業というのはかなり古臭い。
古臭いが、今更他の者をトップには立たせる気などなく、そんな一族の思惑で、光紀が選ばれたのだった。
最初のうちは、飾りとしての役割でしかなくても。
後継者としての準備は進められていた。
だから。
自由なのは、「今」しか無い。
だったら、思うまますごそう。
光紀はそう思っていた。
声を掛けてきた龍介は、光紀にとって今まで接したことのなかったタイプだった。
彼は光紀に遠慮なく話す。
それは、光紀が自分の素性を話してもだった。
龍介自体の素性もおおっぴらには言えないような家だった。だけど、まっすぐ向かってくる感情は、光紀にはとても心地よかった。
龍介が自分に何か友情とは、違う感情があると知ってもなお、光紀は付き合いを辞めなかった。
だから、龍介にいきなり
「好きだ」
と言われても驚かなかった。
光紀は、
「知っていたよ」
と答えただけだった。
そして、龍介と光紀はお互いに離れられない存在となった。
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