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昔日 #4
「だーかーらー。そういう、光紀だってGS(グループサウンズ)やってる誰だっけか??誰かに似てるってさー。よく言われて騒がれてるくせに」
「俺、GSってよく知らないんだ」
「実は俺も」
あはは、と2人で思わず笑ってしまう。なんか、ごまかされた気もするけどと言いながら、光紀は顔をあげて空を仰ぐ。
そして、
「ねぇ、今度、2人で何処か旅行に行こう……できれば、海外に行きたい」
そんなことを突然言い出した。
「外国かよ。お前はひょいと行けるけど、俺は、大変なんだぞ」
「龍介だって、本当はひょいと行けるくせに」
……だって、日本じゃ思いっきり龍介に甘えられないよ?
聞こえないぐらいな声で囁く光紀。
「お前は……」
そんな光紀に対して龍介は優しく微笑みながらその頬にそっと触れる。
その時、急に2人の背後から声を掛ける者がいた。
「光紀さん…」
2人が振り返ると、光紀の祖父の会社の秘書課に最近入った向山がいた。
「えっと、向山さん?」
光紀の顔が少し曇る。何故なら、祖父の秘書が直接来る時は、良くない知らせの時が多いからだった。
(よほど早急な事なのだろうか?)
嫌な予感しかしない。
「社長がお呼びですので、すぐお帰り下さい」
向山は後ろに控えている車を指し示す。
光紀は、はぁ…と溜息をつく。
「わかった。じゃ、龍介、また、明日ね」
にっこり笑って龍介に手を振って車に乗り込んだ。
………
………
「直接、向山さんが来るなんて珍しいよね」
光紀は車のシートに座ってすぐ向山に話しかけると、
「大学の講義が終わってすぐぐらいの時間ではないと、光紀さんを捕まえられませんですから」
そんな事を言われた。
(たしかに、講義が終わったらそのまま、遊びに行くことが多いよな。今日は、そのまま、講義もなかったから、本当は……
龍介とゆっくりしたかったのに)
車が発車して流れる窓の景色を眺めなから、また溜息をついてしまう光紀だった。
…
……
……………
……
…
祖父は光紀の顔をみるとすぐさま、
「光紀、近々イギリスへ行け。大学はすでにイギリスの大学へ編入手続きを開始してある」
突然そんなことを言い出した。
「……何故いきなりそんな事をするのですか?俺に相談もなく決めるのですか?」
「光紀……あのヤクザの息子とは、これ以上会ってはいけない」
祖父はきっぱりと言い放った。
(知って……いた?)
光紀は驚いて何も言えなくなった。
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